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銀魂 −アインクラッド篇−

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・・・
『ソードアート・オンライン』
・階層:不明 現在地:不明

「――――俺には、妹がいる」
「あ?」
「俺と違い、活発で、後先も考えず、笑顔の絶えない妹だ」
「いや、聞いてないけど」
「両手剣を軽々しく片手で振るう姿に、時折俺も恐怖する」
「だから聞いてねぇっていってんだろォォォォッ!?人の話聞こえてますかァァァァッ!!?」
「それでも、その笑顔に俺はいつも助けられた」

ライトは黒刀を両手で構える。
全く人の話を聞かない彼に銀時は苛立っていたが、それでも気を抜くことはできない相手なので銀時もツッコミをしつつ両手で木刀を構えた。

「俺達は、二人で一人。俺達が揃えば貴様も勝ち目は無い」
「おうおう、言ってくれるじゃねぇか。悪ぃがてめぇに至っては既に攻略済みだ。その『ダ〇クーガ』とやらは空間を吹き飛ばすだけで、それさえ気を付ければ大したことはねぇ」
「エクストラスキル『断空斬』。重戦機ではない。それに貴様は勘違いしている」

ライトは黒刀を濁った青色に光らせる。
どうやら、またあの攻撃を放つつもりだ。

「二人で一人。矛と盾。俺は元々『盾』。この刀は、姿形は刀だが盾である」
「いや、言っている意味わかんねぇんだけど」
「なら、受けてみると良い」
「――――ッ!!」

その瞬間、銀時の目の前にライトの姿があった。
いや、違う。
彼が移動したわけではない。
自分が『引き寄せられた』のだ!

「ぐッ!」
「見事」

ライトの高速の斬撃を木刀でガードする。
非常に重く、手にビリビリと振動が走る。
銀時は間合いをとるため後方に大きくジャンプをするが、ライトは狙ったと言わんばかりに「無駄だ」と一言。
「―――ッ!何!!?」
「貴様に『間合い』は無い」
後方へジャンプしたつもりが、再び引き寄せられる!
銀時の胸に一筋の斬撃が放たれ、咄嗟の判断で上半身を後方へと逸らし直撃は避ける事ができた。負けじと木刀で彼の右手に斬撃を与えるよう大きく振りかざすが、まるでその『行動』を吹き飛ばされたかのように気が付けば木刀は地面に突き刺さっていた。

「断空斬は矛ではない。盾だ。空間を断つ事によって貴様の剣は俺に届かない。人を斬ることにスキルなど必要ない」
「チートにも程があるんじゃねえの!?」
「チートじゃない。スキルだ」

間合いが無い・・・これは、大問題だ。
どんな武士でも己の『世界』とも言うべき間合いが存在する。
その世界の中に入った者の生と死を決めるのも自分次第。その世界と世界がぶつかりあった瞬間に力量の差で勝敗が決まるのだ。
それを、他人様に弄繰り回されることは今まで無かった。自分の世界を滅ぼされているようなものなのだから。
そもそも、そんなこと不可能なのだ―――だがここはゲームの世界。
それすらも可能としてしまうのか?

「俺の世界が、まさかてめぇ自身の世界になるとはな・・・世の中広いもんだわ。もしかしててめぇ、ラスボスか?」
「ラスボス?いや、幹部だった」
「あぁそう幹部様ねぇ・・・ったく、困ったもんだな」

ここまで、他人の手を借りたいと思ったのは久しぶりだ。
自分1人で太刀打ちできるのだろうか?
ぼさぼさの頭をかきながら再び木刀を構える。

「間合いもなんもねぇってんなら、こうなりゃでたらめだ。覚悟しやがれ」
「やめた方が良い。意味が無い」

再び、銀時はライトとの間にあった『空間』を吹き飛ばされ、彼の元に引き寄せられる!
それを見越して銀時はタイミングを合わせ右斜め上から左斜め下に向かって振り下ろすも再び間の空間を吹き飛ばされる。今度はライトから銀時の左腹部を狙ってゴルフスイングのように大きく円を描きながら斬撃を放つもなんとか銀時はそれをガード、ガードをしつつ右足でライトの身体を蹴り飛ばそうとするがそれすらも空間を飛ばされ、気が付けば明後日の方向に自身の身体が向いていた。
「ぬおォォォォォッ!!」
しかし、銀時は攻撃の手を止めない。
身体を右に2〜3回転させながらかかと蹴りを放つも、空間を飛ばす必要性が無いと判断したライトは黒刀の柄でそれを止める。
「ッ?」
「舐めんなァァァッァァアアアッ!」

それは、唯一の失敗だった。

想像していた以上にそのかかと蹴りの威力が高く、黒刀は宙に弾き飛ばされる――――!
その隙を銀時は見逃すことなく、右、左、斜右、斜左・・・多方向から多方向へと無数の斬撃をライトにお見舞いし、自称ソードスキルだという壱の型による高速突きを最後に与え、吹き飛ばされた彼の身体は轟音と共に洞窟の壁へ叩きつけられた。

「はぁッ・・・はぁッ・・・よ〜やくまともに喰らったな。どうだ?久しぶりにてめぇの身体が傷ついた気分はよ?」

ライトはふらふらと立ち、すぐ近くにあった自身の黒刀を回収。ずっと俯いており彼の表情を見る事ができない。銀時は構えを解くことは無く、再び剣先をライトに向けた。同時に、ずっと俯いていた彼の顔が上がる――――。

「ぐすっ・・・だいぶ、痛い。辛い」
「何泣いてるのぉォォォォッ!!?さっきの威勢はッ!!?」

無表情ながら一筋の涙を後に絶え間なく涙を流し続けていたライトは左手の甲でそれを拭き、再び銀時へ刀を構える。

「―――ぐすっ・・・・大丈夫。もうなんともない。学習した」
「同じ手は二度ときかねぇってか?・・・あ?」

洞窟の奥から再びぞろぞろと足音が聞こえてくる。
どうやら、気絶状態だった他のラフィン・コフィンのメンバーが目覚めたようだ。
しかし、最初の威勢が嘘のようにライトの後方でがくがくと震えながら武器を構えている。

「お前達。起きたなら手伝え。――――死ぬ気で行け」

その言葉に、震えていたメンバーが核心を突かれたかのように大きくビクリと肩を動かす。ライトから発せられた威圧感は銀時も感じていた。忘れかけていたがこの男はとんでもなく強い。ましてや、下っ端の存在であろう彼らにはその言葉があまりにも重く、後先が無いと判断した彼らの眼にもう迷いはなかった。

流石に分が悪い―――。
目の前の男に精一杯なのに、そこから20人以上の相手をするとなれば、ただではすまされない。HPバーの残量もあと少し。もう一撃喰らえば危険域に達する。回復用の結晶もない。

絶対絶命だ。

「キリト・・・悪ぃ。早くお前ぇのとこに行ってやりてぇのによ。邪魔ばっか入って全然動けねぇわ。」

銀時の周りにラフィン・コフィンの下っ端が武器を構えて今にも飛び掛かりそうになる。
辺りを見回して、どこに誰が居るのかを把握。居合の構えをとる。

「ほらっ・・・来るならさっさときやがれ。この際誰でも相手してやる・・・っ」

額に一筋の汗。
もう、余裕など一切ない。

「来ねぇのか?・・・だったら、俺から出迎えてやる!!覚悟しやがれェェェェェェエエエッ!!」


その銀時の掛け声と共に、静寂だった洞窟内で再び咆哮が響き渡る!!



しかし、その咆哮が発せられたのはラフィン・コフィンのメンバーたちではなかった・・・!


「・・・?この声。まさか」
「あ゛ぁッ!?」

洞窟の『出口』からドタドタと何人ものの足音がこちらへと向かってくる!
その姿が次第に鮮明になる―――!