銀魂 −アインクラッド篇−
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『ソードアート・オンライン』
・階層:不明 現在地:不明
ラフィン・コフィンとその討伐を請け負ったギルド『新撰組』との戦いの最中、銀時と土方、ゴリ=ラン・ケツーゲは青い眼をした侍『ライト』と激戦を繰り広げていた。
人数が増えこちらが有利になると思いきや、ライトの『断空斬』の前に3人は苦戦を強いられている。
「遅い。当らない」
「トシィィィッ!続けェェェェッ!!」
「言われなくてもわかってらぁッ!!」
近藤のラ〇トセーバーのような剣とライトの黒刀の鍔迫り合いが続き、後方より土方の剣がライト目掛けて振り下ろされる。しかし本人は顔色一つ変えることなくあえて鍔迫り合いに押し負け、スキルを発動させ余計な空間を吹き飛ばしゴリ=ランと土方をぶつけ合う。
「痛てえなッ・・・ったく、噂には聞いていたが厄介な相手だな!」
「ラフィン・コフィンの残党、その幹部の生き残りの1名『ライト=ノベル』だったか。奴の技は想像以上だ・・・近藤さん、どうする?」
「もうトシ!何度言ったらわかるんだ!俺はゴリ=ランなの!」
「うっせーな、言いにくいんだよその名前。――――な゛ッ!?」
土方の頭を踏み台にし銀時は大きくジャンプ、左手を掌底の構えにし狙いを定め、右手の木刀を大きく自身の後ろから前へと突き出す!
「それも遅い」
気が付けば銀時はライトの後方に着地しており、わかっていたと言わんばかりに振り向きざまに一撃入れようとする。しかしそこにはライトの姿はなく、銀時の更に後方へと移動していた。
「てんめぇッ!人の頭をなんだと思ってんだ!!」
「んなことより前見とけ、あいつの剣はやべぇぞ。真面目に冗談がきかねぇ」
「万事屋ッ!お前は下がれ!HPも限界じゃぁねえか!」
「あいつの狙いは俺だ。とんずらしても空間飛んで追いつかれるだけだ。どちらにしても、簡単には引き下がれねぇよ」
土方は銀時の言葉の重みに気が付いた。
幾度か共に剣を振るったことがあるか、今の彼には余裕という二文字が一切ない状態である。
それほど、目の前の男に苦戦を強いられていたということなのか。
土方は舌打ちをしながら剣を構え直す。
「あいつのスキルの効果対象範囲は?」
「刀身の二つと半分程度だ。だが俺達の間合いが削り取られる以上、大した宛にはなんねぇ」
「それ以上に離れても奴に俺達の刀はとどかねぇ・・・ったく、こちとら1年半もの間禁煙生活を送ってんだ。これ以上俺をイラつかせるな」
「トシ、ここは万事屋との共同戦線だ!いくら相手が格上だとしても俺達は3人!」
近藤は銀時の身体に無理やり回復結晶を当て「ヒール!」と叫ぶ。次第に銀時のHPが徐々にではあるも回復をしていく。
「ゴリラッ!?」
「ゴリ=ランだから!・・・万事屋、てめぇも貴重な戦力だ。ここでてめぇを失う訳にはいかねぇよ!」
ゴリ=ラン・・・いや、近藤は再び剣を構え、紫色の刀身を出現させる。自分の身体に当たりそうになるのではないかというぐらい匠にそれを振り回し、その勢いでライトに向かって刀身を振り下ろす!まるで高温となった鉄に冷たい水が注がれたような音を散らしながら何度も何度も互いの剣がぶつかり合う。
「俺を倒すためにギルドリーダーまだ出てくるとは。他にやる事はないのか?」
「ある!てめぇをお縄にした後に100層まで攻略しに行ってお妙さんに会いに行くのさッ!」
「お妙?誰?」
「あぁ!俺の天使さッ!」
「近藤さん!続くぜッ!」
土方が後方より援護に入り、ライトは2人同時に相手をする。2人の剣が無数に飛び回るもライトは確実に全てそれらを処理、若干隙の生まれた近藤に掌底を放ち突き飛ばす。それに入れ替わる形で今度は銀時が加勢。銀時と土方、2人同時に振り下ろされた剣をライトは黒刀で受け止め、再び鍔迫り合いとなる!
「なんでてめぇ程の実力を持った野郎がラフコフに入ってやがんだッアア゛ッ!?てめぇの実力なら100層攻略なんて夢じゃねぇだろッ!!」
「貴様、トシと名乗ったか?俺は攻略なんてどうでも良い。攻略したところで『俺達』には関係ない」
「俺達だぁ?そういえば情報には馬鹿強ぇ『妹』もいたはずだッ!どこにいやがる!?」
「妹には別の任を与えられた。『二刀流の男』を殺しに行っている。ここにはいない」
「―――ッ!!?キリトだと!?」
その瞬間、銀時の怒りが頂点まで達したのか左手でライトの首を掴み地面へと押し倒す!流石のライトもその無表情の顔には驚きを隠し切れなった。
「答えろッ!何処だッ!!何処に行きやがったッ!!?」
「下の層。だが、もう殺されている。妹は俺より強い」
「ッ!!!!!」
銀時は右手の木刀を投げ捨てライトに拳を振り下ろす。
しかし、そこには彼の姿はもういない。
無残にも、地面には己の拳がめり込むだけだった。
「無茶苦茶だな。貴様のようなプレイヤーは見たことがない」
「あぁ・・・俺も初めてだ。こんなにもぶん殴りてぇと思った野郎が現れたことはな・・・ッ!!」
「落ち着け。てめぇが怒り狂ったところで何にもならねぇ」
「体制を立て直せ!確実に奴へダメージを与えていくんだッ!!それしか突破口はねぇッ!!」
作品名:銀魂 −アインクラッド篇− 作家名:a-o-w