宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1
「艦長…」(島)
「お疲れ様でした。」(真田)
沖田はめずらしく進の席に座った。
「随分…ユキは待ったんだろうな。ワシがもっとしっかりしていれば古代は
もっと早く決着をつけていただろう…。ユキにも悪い事をしたな。」
沖田は深く大きなため息をついた。
「…島…」(沖田)
「はい」
島は名前を呼ばれて慌てて沖田の横に立った。
「お前もそろそろいいんじゃないか?」
沖田の問いかけに島は何も言えなかった。
「お前が幸せになる事がテレサさんの願い……古代とユキが落ち着けばもう
理由はないだろう?」
何もかもお見通しだった。古代と一緒でユキの事が好きだった事とテレサとの悲恋……
「艦長……」(島)
「お前はいい人になりすぎた。もっと自分らしく生きろ……真田。」
沖田は次に真田を呼んだ。
「…はい。」
真田が島の横に並ぶ
「疲れただろう……全てを見守って来て…そろそろ自分の足元を固めても
いいんじゃないか?守も安心できないぞ。」
真田は何も言えずただ沖田を見つめていた。
「南部」(沖田)
「はい」(南部)
「お前がいたから古代が伸びた。すばらしいコンビネーションだった。もう
ワシの出番はない、と痛感したよ。長官からプライベートでもいいコンビ
だと聞いている。古代は立ち回りがへたくそだから南部にかかる負担は
これからも大きいだろう。」
沖田はそう言うと自分も立ち上がり目の前にる南部の肩をしっかりつかんだ。
「山崎…機関長…。あれだけダメージを受けたエンジンをよく持たせて
くれた…本当に感謝してる。ありがとう…まだ、現場主義か?」
沖田の言葉に山崎が“はい”と言うと
「オヤジさんと同じだな…ケガには気を付けて…大助を頼みます。」(沖田)
「任せてください。しっかり育てます…」(山崎)
「太田」(沖田)
「はい」(太田)
「今までの航海を見たがすばらしいと思ったよ。地道な作業が航海の成功に
繋がった…ヤマトでなければパイロットなのに…太田がいなかったらヤマトは
目的地に着けず地球が滅亡していたかもしれない…責任重大だったと思う
本当にありがとう。」
太田驚いた表情で沖田を見つめていた。
「柔道、頑張れよ。試合には応援に行くよ。」
そう言ってしっかり肩を叩いた。
「相原」(沖田)
「はい」(相原)
「相原の機転で危機を救えた事があったな…」
相原は白色彗星帝国との戦いを思い出した。
「ひとりひとりの乗組員が自分の仕事を全うする事が大きな戦いの勝ち札に
なる事があると言う実例になった。弱かった相原がこんなに立派になって
長官の孫とお付き合いしてるそうじゃないか。大事にしろ。」
沖田は相原の腕をしっかりつかんでそう言った。そしてゆっくり艦長席に移ると
「…ヤマトは働きすぎた……長官と相談してしばらく坊ヶ崎で休艦させようと
思う。」
沖田はこの戦いが終わってずっと考えていた事を口にした。
「このメンバーが今後ヤマトに縛られる事がないようヤマトを休ませようと
思う。ただ有事はすぐに動かせるよう…真田と山崎で時々様子をみてやって
ほしい。」
沖田は静かに眼をつむった。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1 作家名:kei