宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1
<極秘作戦>
「長官、これからヤマトは地球戻ります。」
定時連絡の最後に沖田は相原に艦長室に通信を回すよう言っていた。
<ふむ、今回の航海、本当にありがとう。完全に地球が救われるかどうかは
300年経ってみないとわからないがな…まぁ白色彗星じゃあるまいし…
他の星の引力や磁場に影響されれば…地球へ直進してくる方が珍しいだろう」
藤堂は何か言いたそうな沖田が気になった。
<沖田?体の調子でも悪いか?>
藤堂が尋ねると
「いや…今、長官室かね?」(沖田)
<そうだ、今ひとりだが?>(藤堂)
「実は古代にプロポーズさせた。だからと言うわけではないがすまんがヤマト
のクルーに休暇を与えてくれないか?一週間…そしてこのヤマトを貸してくれ。
ヤマトであの子達を祝ってやりたいんだ。」(沖田)
<沖田…>(藤堂)
「あの子達は辛い戦いをずっとくぐり抜けてきた。このヤマトと共に…きっと
ヤマトもきっと祝福したいと言うと思う…」
沖田は穏やかな顔をしていた。子供を見守る父親のようだった。
<…わかった。それは私の方で何とかしよう。無事、戻って来てくれ。>
二人は敬礼して通信を切った
「古代、どうするんだ?どこで式を挙げるんだ?」
進は真田の部屋にいた。
「南部に相談するなら早めがいいぞ?小さくてもチャペル付のホテル紹介
してくれるかもしれないからな。」
進は悩んでいた。
「以前ドタキャンした時、南部のホテルだったんですよ。軍関係で呼ぶ人が
多かったから…」
進はため息しか出てこない。
「…前は任期1年で外(宇宙)だったから何も知らないんですよ…やっぱり
この事案は南部に相談するのが一番ですかねぇ…」
進が肩を落とす
「そうだな、人には得手不得手があるからな。まぁ急ぐなら指輪ぐらいすぐ
作れるぞ。コスモナイトもあるし…そうだ、加藤たちが拾ってきた
新しい鉱石で作るか?」
真田が見せてくれたのはピンクゴールドのような色に輝く鉱石の塊だった。
「へぇ…キレイな鉱石ですね。」(進)
「世界に一つしかない指輪を俺から二人にプレゼントしよう。まぁこの石は
アクエリアスに行けばどこにでも転がってる石だし、いくつもあるから
一個ぐらい拝借してもいいだろう。」
真田は本当に嬉しそうだった。
「お呼びでしょうか?」
南部が沖田に呼ばれて艦長室に入った。
「すまんな、まぁ座ってくれ。」
沖田がソファーを進めると緊張した顔で南部が座った。
「仕事の話じゃないからそんな緊張しなくていい。実はあの二人の結婚式の
相談なんだが…ヤマトは地球に戻った後坊ヶ崎でしばらく休ませようと
思っている。ドッグから坊ヶ崎へ向かう間であの二人にここで式を挙げさせ
たいんだ。何かいい案はないか?」
沖田はいつになくにこやかだった。
「案、ですか?」(南部)
「皆の休暇は一週間だ。まず坊ヶ崎まではほんの数時間…ユキがドレスを用意
したりすることを考えるとどれぐらい出航まで時間をとればいいか…長官に
許可はもらったもののどうしたらいいか案が出てこなくてなぁ…」
沖田は南部の前にどっかり座ると嬉しそうに考えるポーズをした。
「この辺りは南部の得意分野だろうと思ってな…」(沖田)
「そうですね…以前挙式すると言ってた時はドレスを作ったといっていたので
長官に頼めばドッグまで持ち込めると思います。」(南部)
「そうか…後は坊ヶ崎から中央に戻って来た後だな。」(沖田)
「そちらはお任せ下さい。戻ったその足で南部グループがバックアップします。
とりあえずドッグでドレスを受け取ってそのまま式を挙げる、で、坊ヶ崎で
リニアに乗り換えて中央に戻って披露宴で、どうでしょうか。そこで
ご両親と写真を撮ってもらいましょう。」(南部)
「そうだな、ユキの両親の事を考えなくてはいけなかったな。」
(沖田)
「艦長、相原を呼んでいいですか?相原がいると連絡が速いので…」
極秘任務は3人で遂行される事になった。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1 作家名:kei