宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1
「ルガール様、バリヤーが…司令塔、持ちません!」
参謀が叫ぶ。
「…神殿に向かう…そこで戦闘指揮を執る。」
ルガールⅡ世が静かにそう言うと総員ウルクの後部にある神殿に通じる通路に向かって歩き始めた。ルガールⅡ世はロボットホースにまたがると神殿に向かってたずなをひいた。参謀も後ろに続く。
「全員、退去!神殿に向かえ!急げ!」
全員持ち場を放棄して急いで神殿に向かって走り始めた。
「コスモタイガー帰還せよ!」
進の通信を聞いたコスモタイガー隊は順番にヤマトに帰還した。
「古代、やったな!」
第一艦橋にいたクルーが戻って来た進とがっちり握手をした。進は最後南部と握手をすると
「完璧な攻撃だった。さすが、南部だな。」
と言った。南部はいつものように“ニヤ”っと笑った…が…
「さぁ、古代…これからどう…!」
真田が進に歩み寄った時窓の外の光景を見て固まった。進は窓に背を向けていたので真田の反応を見て振返った。クルー全員が外の光景を見てフリーズしてしまった。
「なぜ?司令塔は崩壊したのに…?」(進)
沖田もその光景を見て立ち上がった。止まったはずのオレンジ色の光線が再びアクエリアスに向かって伸びていたのだ。
「古代、コスモタイガーの発進準備を急げ。島、発進準備だ。」
沖田の冷静な指示が飛ぶ
「「了解」」
島と進は操縦席に座り頷きあった。
「…どこかにあるはずだ…サブコントロールが…」
真田が絞り出すような声で言うと
「技師長、アクエリアスがワープするまでの時間を計測せよ。あとサブコント
ロールシステムがどこにあるのか…」
沖田がどっかりと座りなおしながら指示を出した。
「了解…」
真田はコンソールを叩きながら技術班に指示を出した。
<至急サブコントロールシステムがどこにあるのか調査せよ。>
真田はエネルギーの熱量を辿ればサブコントロールシステムのある場所がわかると思ったのだ。手元は確実にアクエリアスの最後のワープ時間を調べている…
「艦長、後20分です!」
島は真田を見た後進を見た。進と島と目が合った。
「沖田艦長、あの光線の出る場所を波動カートリッジでつぶせば…とりあえず
エネルギーを掃射できないと思うんです。アクエリアスとウルクの間から
攻撃させてください!」
進が沖田を見て言った。すでに島は航路をその指示のポイントに向けている
「…よし。島…」(沖田)
「了解…ヤマト発進!」
島はヤマトをアクエリアスに向かって進んだ。
「何をするつもりだ?諦めたのか?」
ルガールⅡ世はサブコントロール室でヤマトの後姿を追った。
「攻撃する術がなくなりアクエリアスに着水でもするつもりなんでしょうか?」
参謀の一人がルガールⅡ世に言う
「…諦めの悪い地球人め…アクエリアスさえワープしてしまえば…そこから
24時間待てば…地球は我々の物だ!」
ルガールⅡ世はそう言って笑うと参謀を下げさせた。
「ふっふっふ…もう、波動砲も撃てまい…手は尽くしただろう?…!」
ルガールⅡ世が笑いながらヤマトを見ていると後姿のまま第二副砲と第三主砲が火を噴いた。最後まで残していた波動カートリッジ弾…
「あの程度のエネルギー弾がこのウルクに通用するか!」
しかしそれがルガールⅡ世の最期の言葉となった。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1 作家名:kei