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宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1

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<少年>
  「ボク?」(ユキ)


ディンギルの少年がひとりヤマトの後部展望台で宇宙空間を見つめていた。

  「大丈夫だよ、僕。」

少年はしっかりとユキの眼をみた。

  「お父様たちは…ディンギルでは弱いものが滅びる…だからお父様たちは
   滅びちゃったんだ。しょうがないよ…。」

少年の拳がグッと握られて震えていた。

  「違うわ。」

ユキはしゃがんでそっとその手を握った。

  「あなたの星の人は弱かったんじゃないわ。過ちを犯したのよ。」(ユキ)
  「過ち?」(少年)
  「…そう…自分の星が滅亡したからと言って他の惑星を侵略しようとしたから
   こうなってしまった…侵略される側も抵抗するわ。そこで戦いになる…」

ユキは諭すように少年の眼を見つめた。

  「…僕のお父様はディンギルの王だった…強くて、大きくて…誰からも
   恐れられた。こんな僕にも取り巻きがいっぱいいた。みんな僕のご機嫌
   取りだった。」

ユキは少年の告白を驚いた表情のまま聞いていた。

  「あのニュートリノビームで死んだのは僕のお兄様。お母様は違うけど…
   お兄様もお父様に倣って強かった…お父様はいつもお兄様をそばに置いて
   いたんだ。僕も…成人したらお父様とお兄様と一緒に…」(少年)
  「ダメよ!」

ユキが握っていた手を離して少年の両肩を掴んで叫んだ。少年は今まで静かだったユキが大きな声を出したので驚いてユキの顔を見た。

ユキは泣いていた。

  「人は…強いだけじゃ生きて行けないわ。権力を力で得たら力で奪われる…
   ねぇ、ヤマトに乗っている人を見て?ひとりひとりは決して強くない…
   地球を守ろうとする力が勝った結果なのよ。…ボクの仲間を…家族を
   葬ってしまう事になってしまったけど…」

ユキは少年を抱きしめた。

  「あなたの大切なお父様とお兄様を…せめて話す事が出来たらまた違う結果に
   なったのかもしれないのに…」(ユキ)
  「…お父様は絶対話し合いなんかしないと思うよ。ほしいと思ったらどんな
   手を使ってでも手に入れるんだ。僕のお母様だって…」

ユキは抱きしめてた手を緩ませた。

  (この子は…ちゃんと判ってるんだわ。ただ、まだ整理ができないだけ…)

  「この艦に乗って…ディンギルがよく解った…。」

少年はウルクの消滅したポイントをいつまでも眺めていた。