宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1
ディンギルが宇宙のちりとなって5日が過ぎていた。
「アクエリアスへ探査衛星発射!」
微量の光をエネルギーにしてあらゆる情報を地球に送る事が出来る探査衛星を真田が考案しそれをアクエリアスに向かって打ち上げる事に成功した。技術班が信号がきちんと送られるか確認するためにいろいろ調査している。生活班はアクエリアスに着水し海水や植物、鉱石などを持ち帰り技術班と共に研究していた。他、全乗組員で重水をくみ上げる装置の解体作業もしていた。
「さて…今回のけが人も落ち着いたわ。…もう、大丈夫ね。」
重傷者もオペを重ねて随分落ち着いた。地球に戻るころは歩けるぐらいになっているだろう。
ユキが廊下に出るとディンギルの少年が待っていた。
「お待たせ…昨日の続き、する?」(ユキ)
「うん!」(少年)
ユキは少年の手をつなぎ食堂へ向かった。食堂へ向かうと幕の内が顔を出す。
「おう、ボウズ、熱心だな!勉強、面白いか?」
幕の内がオレンジジュースを持って少年の横に座った。2人はありがとう、と言った。
「うん、すごい面白いよ。昨日さココ、読んでもらったでしょ?その先が
気になっちゃって…全部読んじゃった。」
少年の眼はキラキラしていた。聞くと今まで教えてもらって来た事は自分がいかに生きて行くか、の術だった。少年はどうみても小学1,2年生ぐらいにしか見えないのに人を傷つけてもいい、ような教育を受けて来た事にユキは心を痛めていた。その上に目の前で民族の全滅を見てこのままじゃ復讐心しか宿らない子供になってしまう、と心配になったのでメインクルーと相談した。ユキは沖田に少年の心のケアと地球で暮らしていけるよう勉強を教えたいと申し出た。もちろん沖田は快くOKを出した。
「すごいな!難しい本だっただろう?」
幕の内が少しオーバーに感心すると
「ちょっと難しい、って思ったけど…二回読んだらわかったよ。昔の人は
面白いね。でね、ここが僕の星と同じ事言ってるんだ。だけど後でそこは
間違ってる、見たいな話になって…考え方でこう変わるのか、って思っ
たの。」
少年は確実に少年らしい瞳の輝きを取り戻しつつあった。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 1 作家名:kei