宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2
やがて日付が変わりユキはラフなワンピースに着替えてきた。悠輝も役目を終えて自宅へ帰って行った。重鎮たちは随分前に帰って行ったがクルー達はまだまだ盛り上がっていた。
「古代、部屋取ってあるからユキさん連れて行ってやって。」(南部)
進が時計を見ると午前4時だった。ユキを見るとソファーの肘置きにもたれて眠っている。
「今日はいろいろあって疲れたと思うよ。このすぐ下の階の1001取ってある
から行って…カギ、開いてるからさ。」(南部)
「そうだよなぁ~まさかだよな、予定なく急に挙式、なんてさ。だけど俺達も
めちゃくちゃ記憶に残る式になったよ。本当、いい式だった。誰も真似
出来ない最高の式だったよ。ところで新婚旅行、どうするんだ?」(島)
「………」(進)
「なんだ?何も考えてないの?」(太田)
「古代、お前って…」(真田)
相原はすでに南部の指示で端末を広げなにやらキーボードを叩いている。
「明日の午後4時のフライト取れますね…(南部の顔を見て)取りました。
古代くん、明日の4時のフライトでヨーロッパ行きのチケット予約した
からね。ホテルは南部ホテル提供ですって。予算は…これぐらいなら
払えそうですよね。行っちゃいましょう!あ、長官に有給延長するよう
伝えました。結婚すると一週間の休みがもらえますから…それ足すと
二週間の休暇ですからね~10日ほど行っちゃいましょうか…帰りの足も
予約済みですが延長する事も出来ますよ。南部のホテルあちこちありますねぇ
今はどこも空いてるみたい…」
相原がテキパキ手配をする。その横で南部が指示を出しながら電話をしている。
「どこのホテルに泊まっても大丈夫なようにしました。地中海満喫してきて
くださいよ。一生の記念ですから…ユキさんの為にも…楽しんで来て
くださいね。」(南部)
「そうですよ、加藤も…山本もあの世でやきもきしてたと思いますよ。
守さんが一番ほっとしてるかもしれませんね。」(太田)
「加藤…山本…」
進の脳裏に二人の最期の顔が浮かぶ…
「まぁ…とりあえず…このままじゃユキさん明日寝違えちゃいますよ。
新婚旅行の予定はメールで送りますから…」(相原)
相原が早く部屋に向かうよう言っているのに進が照れていると
「なんだ?新婚初夜に俺が運ぶか?」
島がユキを抱こうとした。
「…バカ!島!」
進が立ち上がったのでクルーはおもしろくなり
「ははは…早く行け、って~のに!」(島)
とはやし立てた。進は立ち上がったままクルーに向かってこう言った
「今日は一日ありがとう…やっと一歩進める…。南部も…いろいろありがとう
いとこの須藤さんにもよろしく伝えてくれな。」
進はユキを起こさないようにそっとお姫様抱きをしてフロアーを出て行った。
「何度もユキのお姫様抱っこ見てるのに…何をいまさら照れてるんだか…
まぁ最初のお姫様抱っこは笑えなかったけどな…あれから何年だろう…
何度危機にさらされたか…」
島がしみじみ言った。…だけど、戦いは地球外生命体だけじゃなかった…同じ地球人にも苦しめられたがクルーのチームワークで乗り越えてきた。
「そうだな…いろいろありすぎた。古代も…ユキも。」
真田もユキとの出会いを挙式の時に思い出し自分の腕にかかるユキの腕をとても愛しく思った事を振り返る。
「だけど…兄貴代理はまだ…卒業できないかな。」
真田は嬉しそうにつぶやいた。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2 作家名:kei