宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2
「え…サーシァちゃんからのダイヤですか?そんな大切なモノ…ダメですよ、
大切に取っておかないと…」
ユキが指輪をはずそうとすると真田がそれを止めた
「いいんだよ、サーシァが残したダイヤモンドはそれだけじゃない。何度も
来てくれたからいくつかあるんだ。俺だけじゃない、島の所だって…クルーの
所、みんな回ってるんだ。ユキだって持ってるだろう?たまたまその中の
1個を身に着けていてその一部を砕いただけだから…指輪とネックスレスと
お揃いでちょうどいいだろう?」
真田はそう言いながらポケットから何かを取り出してユキの手を取り掌に乗せた。
「これ…」(ユキ)
「もう、そのネックレス、隠さなくてもいいだろう?同じ鉱石で短いチェーン
作ったから…コスモナイトで作った方は他のペンダントトップ付けて
使ってくれな。」
真田はそう言うと藤堂と目が合ったので“じゃぁ”と言ってメインクルーから離れた。ユキの手の中に残されたチェーンは細くしなやかだった。
「あ、渡しそびれた。」
少し離れた所から真田がもう一つのポケットから取り出したものを島に投げた。
「ユキに俺からの結婚祝い…渡しといて。」
そう言うと右手を挙げた。島は小さな箱をユキに渡した。ユキは太田にチェーンを預けると島に手渡された箱を開けた。
「きれい…」
そこにはアクエリアスの鉱石とイスカンダルのダイヤモンドで作ったブレスレットが入っていた。ユキは小さな声でありがとう、と言って先にもらったネックレスのチェーンもその箱に入れて持っていたバッグにしまった。
「お姉ちゃん。」
ディンギルの少年がそばにやってきた。
「ボク…今日は大活躍ね。どうもありがとう…まさか指輪まであるとは
思わなかったわ。」
ユキは少し目線を下げるために少し屈んだ
「艦長とこのメガネの南部さんがね直前まで見せないようにするために
“演出するから頼む”って言ったの。僕、ずっと黙ってるの大変だった。
だけどびっくりしてくれて嬉しかった。」
どこにでもいる子供の笑顔だった。肌の色が少しグレーがかっているけどこうしてスーツを着ていればどこにでもいる地球人と同じだった。
「ユキさん、おめでとう。」
幕の内が少年の後ろに立った。
「幕さん、ありがとう…ございます。」
ユキはそれだけしか言えなかった。
「長官、艦長…ありがとうございました。」
進とユキは窓際でくつろいでいる二人の所にいた。
「ユキ、よかったな。古代、こんな所でなんだがちょっとお願いがある。」
藤堂が咳払いを一つして立ち上がった。
「こう言ってはなんだがユキは優秀な秘書だ。秘書と言う仕事は見た目は
大変そうに見えないが実はかなりの実権を握っていたりする…いや、彼女が
私の仕事の上で周りから“藤堂は森秘書がいないと動きが悪い”と言われる
所以なのだが…忙しいのはわかるがユキにこのまま秘書を続けてもらい
たいのだよ。ユキが退職するとなると大統領が手ぐすね引いて待っている
状態でな…できるだけ休暇はキミに合わせられるようするから…」
長官が遠まわしに“結婚退職はしないでほしい”と言ってるのはすぐに分かったが進はその様子が面白かったので少し引っ張っていた…がユキがすぐに
「長官、大丈夫ですよ、私は辞めたりしませんから。ずっと長官に付い
ていきます。第一、古代くんは家より(上を指さして)向こうの方が落ち
着くんですから…」
ユキが進を見て笑う。
「…と、申しておりますので…VIPの前では何匹のネコをかぶってるのか
見てみたい気もしますが怖いので…」(古代)
「もう、古代くん???」(ユキ)
「ははは…戦闘班長は生活班長に頭が上がらないみたいだな。」(藤堂)
沖田も二人を見て笑っている。
「戦いが続きすぎた…しばらく落ち着いてくれれば、と思うんだがな…
ヤマトも少し休養するのもよかろう。」
藤堂が眼下に広がる海を眺めながらつぶやいた。
中央(トウキョウシティ)から坊ヶ崎までゆっくりと進むヤマト…本来本当の海を航海しているので有視界で運行しなくてはいけないが今回は特別に自動操縦が認められていた。クルーはその間思い思いの時間を過ごした。
6時間かけてヤマトは坊ヶ崎の秘密ドッグへ入港した。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2 作家名:kei