宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2
「遅いなぁ~写真撮るだけなのにこんなに時間がかかるのか?」
進が時計を見ながらつぶやくと
「当たり前だろ?一生で一番キレイにする日でそれを写真に残すんだから
準備に余念がないんだ。」(南部)
南部は女性の準備に時間がかかるのは当然と言わんばかりにどっかり構えている。
「だいたい、どうして島達、帰らないんだ?」(進)
南部はホテルを貸してくれているのでいて当然、だがクルー全員が控室にいたので進が聞いた。
「ん?どうせなら最後まで見て行こうと思って…な。」
島がいたずらっ子のような顔をした。進は(ユキの完璧なドレス姿を見ないと帰らないだろう)と思いしょうがないか、という顔をした。
1時間ほど待つと係りの人が進を呼びに来た。
「古代様、森様のお支度が出来ました。」
進は呼ばれて立ち上がると
「ちゃんとキレイだよ、って言ってやれよ。」
と、島が送り出した。
進は係りの人に案内されながらユキのいる控室をノックした。中から“どうぞ”とユキの声が聞こえる。進が中に入ると姿見を見ているユキがいた
「ユキ、迎えに来たよ」
と進が声を掛けるとゆっくり振返った
「……ユキ…」
さっき見たユキとまた違って透き通るような美しさがあった。またヤマトで見た時はヴェールは短かったがドレスと同じぐらい長いヴェールを背中の方へ流していた。
「…古代くん…なんだか私じゃないみたい…」
慣れないプロのメイクに笑顔も少し不自然だったが進の顔を見て安心したのかいつものユキの顔になった。
「ユキ、キレイだよ。さっきが一番きれいだと思ったけど…もっとキレイだよ。」
進がユキに近付く。係員はユキの部屋から一度出て行った。
「誰にも見せたくないなぁ」
進の素直な感想がユキの心に響く
「私、幸せすぎて…怖いわ。」
ユキが不安げに下を向く
「ユキ、今日が一番幸せな日じゃないよ。今日はスタートなんだ。これから
もっと幸せになるんだから…。」
進はそう言うとユキをそっと抱きしめた。
二人は写真を撮るためにホテルの中にある写真室へ来た。真っ白なドレス姿のユキと士官服の進…従業員も何人か見物に来ていた。
「え~、それでは別のカットを撮りますので隣の部屋に移動してください。」
カメラマンがそう言うと係りの人がユキの手を取り隣の部屋へ移動した。
「え…うそ……」
そこにはユキの両親が待っていた。ユキの両親の膝の上には進の両親、守とスターシァ、サーシァの写真が乗せられいた。
「進くん、ユキ、おめでとう…すまんな、預かっているカギで地下都市に行って
写真を勝手に拝借してしまったよ。お兄さんの家族は長官が用意して
くれたものだ。一緒に写真に写ってもいいかね?」
進とユキは驚きのあまり言葉を失っていた。
「…ありがとうございます。すみま…」
進は一気に涙が溢れてきた。ユキは進の背中にそっと手を置く。
「ちゃんと…ご家族にも報告しないといけなかったわね。ほら、古代くん。」
ユキが両親の写真を進に渡すと進は写真を抱きしめて泣いた。
「父さん…母さん…」
進はそれ以上言葉にならなかった。
進が両親の写真を持ったりユキが持ったりといろいろ交換しながら数枚写真を撮り一通り済んだかな、と思ったところでユキの両親が係りの人に“そろそろ…”と言った。係員はにっこり笑うと進たちが入ってきた扉と別の扉を開いた。
「…!え??」
そこにはクルーが並んでいた。
「お~い、早くしろ~待ちくたびれたぞ~」(島)
「ここ!真ん中!早く!」(南部)
クルーの間にあのディンギルの少年もいた。
「僕も一緒に写っていい?」
二人を見て言ったので
「もちろんじゃない。仲間でしょう?」
ユキが笑顔で返事をした。
作品名:宇宙戦艦ヤマト 完結編 アナザーエンディング 2 作家名:kei