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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 1

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  「明…大丈夫?」

山本の部屋にも両親がやって来た

  「お父さん、お母さん…無事でしたか。」
  「地球には直接被害がなかったから…まぁちょっとした天変地異はあったけどね。」

父はそう言うとベッドで寝てる息子の横に座り母もその横に座った

  「聞いたよ、宇宙空間に漂流してるところを救助されたって。もう少し遅かったら酸素
   が無くなって窒息死するところだったんだってな。お前…強運の持ち主かもしれな
   いな。凍傷もないって言ってたし…宇宙空間の日が当らないところは極寒だと
   医者が教えてくれてな…」
  「あぁ…そうだった。寒くて起きたんだ。」
  「そう…明、戻ってらっしゃい?一緒に暮らしましょうよ」

母が優しく声を掛けたが

  「俺…仲間の分もやらなきゃいけない事があるんだ。実家になんか戻らないよ。」

両親の顔を交互に見て山本はそう宣言した

  「戻ってらっしゃい。…わたしも辛い思いはもう、沢山!明が生きてるかもわからない
   ような生活は無理なのよ…お願い帰ってきて」

母の切実な思いは山本にも伝わっているが

  「ごめん、かあさん。俺たちにはやらないといけない事がありすぎるんだ。」

山本が力強く言うと

  「…なぜ…なぜ戻って来てくれないの?」
  「自分の中に仲間の命があるから自分だけ逃げる事はできない…。」

山本はそうはっきり言ったまま口をつぐんでしまった













  「古代…今、どうしてる?ユキは一緒か?苦しくないか?」

島は部屋を抜け出し一人展望台へやってきた。空調は効いているが人がいないせいか少し肌寒い

  「真田さんにうんと怒られただろう?」

すこし鼻をすすると

  「ユキ、ちゃんと甘えてるか?ゆっくりメシ食ってるか?少し太った方がいいぞ?
   赤ちゃん産むときすっげぇ太るかもしれないぜ?」

島は端末の写真のフォルダーを開きながらポツリポツリ話しかけていた

  「加藤…お前とは一番古い付き合いだったのに…山本は戻ってきてくれたぞ?
   お前はどうして…戻って来たのに…死んじまったんだよ…」



島のつぶやきを展望室の入り口で聞きながら泣いてる太田が立っていた

  「島…」

ころ合いを見計らって太田が展望室へ入って来た。島は涙を拭く事もしないで端末から目をそむけずじっと見つめていた。太田がその端末を一緒にのぞく

  「楽しかったよな」

ユキを真ん中に両サイドに島と進が並びその後ろに苦笑いの真田が右の後ろに立ちその前に相原、中央に南部、左に太田がいる。それからもう少し離れた後ろでオヤジさんが笑って見ている

  「イスカンダルを出発した時だよな、これ。俺も端末変えてもこれはフォルダーに
   入れてて時々見るよ。」

太田が懐かしそうに言ったが

  「ほんの1年前なんだよな…信じられないけど…」

ユキの吊った左腕が少し痛々しいが

  「いろんな意味でたくさんの危機を乗り切ったよね」

二人は島の端末を見ながら一晩中話をしていた





  「がんばれよ」

島が声を掛ける。

  「あぁ、ちょこっと切ってくるよ。」

太田がじん帯のオペのために病室から運ばれるところでみんなで声を掛けた。
ストレッチャーの横には両親が付き添っている。クルーたちはその両親に頭を下げると太田の両親も“お世話になっております”と言いながら頭を下げた。

  「後で待合室に行くからな、俺たちも」

そう言ってストレッチャーを見送った








オペはそんな難しいものではないので1時間ほどで終わった

  「おう」

部分麻酔のため太田はオペ室から出てくると右手を挙げてあいさつした

  「余裕だな、両足切ってもらえばよかったのに」

南部が憎まれ口を叩いた。…が

  「南部の事だからオペしたら看護士さんが優しくしてくれると思ってるんでしょ?」

太田がニヤっと笑ったがすぐ真顔になった

  「ユキだったらきっと優しくしてくれただろうな、って思ったんだろ?そうかな?
   結構厳しい看護士だからな、あぁ見えて。あれ?お前入院した事なかったか?
   そりゃラッキーかもしれないな。ユキにあこがれてて入院したやつはそりゃぁ
   ガッカリしてたからな。」
  「なんでですか?」
  「すっげぇ優しくしてくれるの期待してたんだろ?古代なんかにはメチャクチャ
   厳しかったからな!」

島が笑いをこらえる

  「へぇ…よかったと言うべきかでも一度体験してみたかったと言うべきか…」

太田が寂しそうにつぶやいた