続 さらば宇宙戦艦ヤマト 2
アナライザーの画面は救命艇が最後挨拶したポジションの所だった。中央辺りに白い丸い影が見えてみーくんなのか茶色の小さな塊も見える。
ゆきはドレスをまとったままの出航となった。
そしてヤマトらしき白い影は静かに消えて行った
「今の…夢じゃないよな…アナライザーは架空の画像を作る技術
ないよな?」
南部がつぶやくと相原が思い出したように救命艇の中で何枚か写真を取ったのを思い出し
「カメラ取ってくる」
と言って島の部屋を飛び出しすぐに戻ってきた。そして真田の端末につなぎ何が写っているのか見た
「うそだろう?」
アナライザーの画面よりうんと鮮明にユキの花嫁姿が写っていたのだ。幸せそうにほほを染めて進に少しもたれかかるような甘えるしぐさを見せていた。
「生きている…みんなヤマトと一緒に生きてるんだ。」
数枚のショットにみんなの嬉しそうな顔と二人の幸せそうな顔が収められていた。そして最後のショットは全員が救命艇を見て手を振っていた。苦しそうな顔やつらそうな顔をしてるクルーは誰ひとりいない。狭い第一艦橋にぎゅうぎゅうながら誰もが笑顔で二人を祝福している。
それは二人を祝福するだけでなく精いっぱいの事を成し遂げた証拠なのかもしれない………
「長官を呼んでもいいか?」
島がユキのことをずっと気にかけてくれていた事を思い出しみんなに告げると
「これを見たら長官も少し安心するかもな」
太田がそう言ったので島は通信機を手に取り長官に連絡を取った
Tweeen
ノックの音がしたので島は立ち上がり長官を出迎えた。
「すみません、お呼び立てしてしまって」(島)
島の敬礼に合わせて3人も一緒に敬礼した
「いや、今は敬礼などしないでくれ…な。」
藤堂はそう言いながらアナライザーをなでた
「完全復活か…アナライザー、よかったな。」(藤堂)
「長官、私ハやまとニ乗リタカッタ。ソレヲ沖田艦長ガ許シテ
クレタ。デモモウやまとハナイ。私ハ島サンガ直シテクレタ
コレカラハ島サンニ付イテ行ケバイイノデショウカ?」
アナライザーが赤い点滅を繰り返しながら藤堂に聞いた
「…アナライザーはどうしたいのかね?」(藤堂)
「やまとニ乗ロウトシタノニ誰モOK出シテクレナカッタ。
佐渡先生モイナイ。私居場所ナイ。島サンガ必要トシテクレル
ナラ私島サント働ク」
アナライザーははっきりそう藤堂に言った
「そうか、アナライザーは解析から分析、看護師までこなす万能
ロボットだもんな。好きな所で働くがいい。私はアナライザー
を島に預けたんだ。私から何も言うことはない。」
藤堂がそう言うと
「長官、アリガトウゴザイマス。必要ナ時ハ言ッテクダサイ。
島サンノ用事ヨリ優先シマスヨ。特別ニ」
アナライザーはそういうと島を見て黄色のライトを点滅させた
「長官、こちら…アナライザーのメモリーの中にあった昨日
行ったヤマトが消えた場所の映像です」
島がそう言うと相原が真田の端末を藤堂に見せた
「これは…この形はヤマトじゃないか…それに…」
時々アナライザーの言葉とクルーの会話が入ってくる
「ユキ…よかったな。みんなに囲まれて…前回は大変な航海
だっただろうが…今回はハネムーンだな。しかしこれだけ
大勢を連れて行かなくても良かっただろう?みんな、あて
られて…熱くてしょうがないんじゃないか?」
藤堂の眼から涙が落ちる
気付くとヤマトらしき白いモヤは消えていた。
「島、ありがとう。ユキが死んでしまった悲しい事実は変わる
事はないが…」
そう言いかけたところで相原が別のファイルを開いて相原が撮った写真をスライドしてみせた
「相原…この写真は…」
余りにリアルに写っている写真を見て藤堂が驚きの表情を隠さずに相原に聞いた
「実は、アナライザーが話してる時持ってきたカメラで宇宙空間を
数枚撮りました。私達には白いモヤすら見えていないんです。」
そう言って最後の1枚を見せた。藤堂は画面に釘付けになった
「みんな、いい顔して写ってるじゃないか…しかもこんなに鮮明に…
ユキ…辛かっただろうに…悪かった、私がヤマトへ向かわせなけ
れば…古代は置いていくつもりだったのに…本当に申し訳ない。」
藤堂が謝ると
「長官、ユキは長官に言われなくても乗ってますよ。」
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 2 作家名:kei