続 さらば宇宙戦艦ヤマト 3
店主は泣きながら続けた
「ガミラスの時もそうだったけど私たちはもっと感謝しながら生きなくては
いけない、って思っています。たくさんの犠牲の上に地上に戻れた私達…
月基地の恩恵を受けて私は生活しているけどこうして咲く花は地球から送ら
れるものです。地球で…地上で育った花が店頭に並ぶ時ヤマトのおかげなんだ
って思っていました。
だから…戻ってきてくれてよかったです。あの戦いの全てじゃないけど少し
でも知ってよかったって思いました。」
そう言うとごっそりカスミソウを手際よく束ねると
「これはそのお二人とヤマトの乗組員のみなさまへ私から…です。」
そう言ってラッピングを始めた
「結構こう見えてヤマトのこと大好きだったんですよ。」
カスミソウは白の薄い紙とセロファンに包まれ赤とオレンジと黄色と緑と青そして黒のリボンで幾重にもリボンが結ばれた
「足りない色、ないですよね?」
店主は涙を拭いて島に差し出した。
「…お金、払います!」
島が慌ててマネーチップを出そうとしたが
「これは私から、です。」
店主はキッパリそう言って島のチップを受け取ろうとしない。とその時アナライザーが決まったようで店主に向かって
「アソコノ色ンナ色ノ花、とるこききょうヲアルダケ全部包ンデクダサイ」
そう告げて
「りぼんハ私ノぼでぃーノ色ノ赤トゆきサンノ黄色ニシテクダサイ」
と言ったので店主は“了解です”と言いながらトルコキキョウをごっそり持つと紫の薄紙とセロファンで包み指定通りの赤と黄色のリボンで結びアナライザーの分だけの料金を頂いた
「いつになるかわかりませんがあそこへ行く時は必ず寄りますのでその時はまた
花をお願いすると思いますのでよろしくお願いします。」
島が丁寧に頭を下げると
「はい、どうぞごひいきに…」
店主は笑顔で島を送り出した
「へぇ~そんな事があったんだ。…ってかあんだけごっそり花が無くなったら店主も
おかしい、って思うよな?」
南部が真っ赤なバラを見て言うと
「だよなぁ・・今日あたり店開けられないんじゃないか?売るものなくて。」
山本も心配そうに言った
「まぁ次もあの花屋を使ってくれよ。」
島は笑顔でヤマトのいなくなった地点へ向かって操縦していた
「着いたぞ」
島がエンジンを止めて全員が簡易宇宙服に着替えてコンテナに移動した。アナライザーは命綱を付け他は背中にガスを背負い宇宙空間に出る用意を済ませるとコンテナのハッチが開き真空の空間へ8人が飛び出していった。手にはセロファンに包まれた花を持っているが密封されてるわけではないので一瞬にして水分が飛んでドライフラワーになった
「古代、ユキ、今どこを飛んでる?」
島が青いバラを見つめながらつぶやく
「もう、奇跡は起こらないだろうか?お前が戻ってきたら最高の奇跡なんだけ
どな…ユキが離さないだろう?…おめでとう…」
島はそう言うとリボンをほどき青いバラをバラバラにして投げた
「奇跡が…一度と言わず何度も起きるようにばらまくぞ」
もう島の顔に涙はなかった
「ユキさん、ヴァージンロードの代わりですよ」
南部はそう言いながら真っ赤なバラの束を解いて一気にばらまいた。
「ほら、どこ見ても真っ赤…きれいでしょう?」
とそこへ真っ白なユリとバラと蘭がばらまかれた。
「じゃぁ一緒に!」
赤と白のカーネーションがばらまかれた
「きれいだなぁ…」
赤と白が終わると色鮮やかなフリージアがばらまかれた
「加藤、ひっかきまわしてやれ!」
山本が笑いながら叫ぶ
「じゃぁ…僕達のカラーですよ、ユキさん!」
大きなひまわりと小さなヒマワリとたくさんの黄色が宇宙空間に放たれた
「すげぇな…」
救命艇のまわりは花で埋め尽くされた。
「ゆきサン、笑ッテイマス。ゆきサンダケジャナイ。ミンナ笑顔デス。」
心なしかアナライザーの声が震えている
「真田サン、私アナタイナクテモ生キテ行ケソウデス。」
相原は持って来ていたカメラを取り出して無心で何度もシャッターを押した
「幸セニ…」
アナガイザーがそう言うとリボンを解いてトルコキキョウをばらまいたと同時に最後のカスミソウを島がばらまいた
<ありがとう>
どこからともなく…ユキの声が直接みんなの頭に響いた気がした。
最後残ったリボンを宇宙空間に離しコンテナに戻った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 3 作家名:kei