続 さらば宇宙戦艦ヤマト 3
「そう言えば…ありがとう、って聞こえた。」
島は部屋に戻って頭に響いた声を思い出した。そして相原が写真を撮っていたのを思い出してアナライザーを連れて相原の部屋に行った
「お疲れさん、入っていいか?」
島がそう言いながら部屋に入ると相原は準備していたのかカメラと端末をセットしていた
「今呼ぼうと思ってたところ。他も呼ぶか?」
相原が笑ってそう言ったので島がうなずくと相原は一斉メールを送った…と数秒後には全員集合していた
「…さすが、だな…」
島と相原は笑ってしまった
「なぁ…写真見る前に確認したいんだけど…ユキの声、聞いたやついるか?」
島が唐突に尋ねるとみんながきょろきょろしながら
「俺だけかと思った…」とか「空耳かと…」
と言いだした。
「やっぱりみんな聞こえてたか?ユキが“ありがとう”って言っただろ?」
島が立ち上がってそう聞くと全員がうなずいた
「準備、出来てるよ。いい?」
相原が島に聞くと
「あぁ、頼む。」
相原は全員に端末が見えるようにした
相原の端末には幸せそうに花束を抱えるユキとそれを祝福するクルーが映し出されていた。
バラバラにしたのにユキが持っている花はきちんとした花束になっていてそれも花屋でラッピングした状態と同じだった
「…ちょっと違うな…」
太田がつぶやいた
「なにがだ?」
相原が手を止めた
「ほら、ここさぁ…みんながいるところ…側面の展望室だと思うんだけどバック
見て…違うでしょ?この空域…覚えてない?」
さすがは太田、バックもちゃんと見てる
「ここ、アルファー星のところだよ。ガス生命体で大変な思いしたところ。」
太田の一言に相原もうなずきながら
「そうだ、この星の配置…そうか、今アルファー星のところを通過中なんだ」
と言った
「随分遠くへ行っちゃったな…戦闘がない分早く行けてるじゃないか」
(このころはまだキミの心は俺に向いてると思ってたんだよな)
島の複雑な心境を察してか
「このころはさぁユキさんが誰を好きなのか結構話題になりましたよねぇ?」
南部が懐かしそうに言うと
「そうそうユキさんと話すだけで結構盛り上がっちゃったりして!」
太田が納得したように言った
「第一艦橋はいつでも話せる状態だったじゃないか」
山本が少し納得できなさそうに言う
「そう思うだろ?ヘタの事言って“バカ”って思われたくなくて最初はなかなか
話せなかったよなぁ」
南部が山本に言うと
「南部が話せない、って言う事が信じられないけどなぁ」(山本)
「あ、島は普通に話してたよなぁ?」(南部)
「そうそう、僕なんか同じ班なのに声掛けにくかったのに普通に話してた」(相原)
「んぁ?あぁ俺はユキと真田さんと付き合ってるって思ってたから…かな。」(島)
「よく言うよ!最初から目を付けてたくせに!」(南部)
「うるさい!大体なぁ…」(島)
「テレない、テレない!しょうがないよ、ユキさん競争率高かったんだから」(太田)
「ホントだって!第一ユキが同い年って聞いてびっくりしたんだぞ?」(島)
「本音は“同い年でよかった”じゃねぇのか?」(南部)
「南部!」(島)
「まぁまぁ…」(南部)
「今だから言える事あるだろう?言っちまえ!」(山本)
「バカ!」(島)
「まぁ飲めって!」(南部)
誰が持ってきたのか冷えたビールが島に手渡された
「…おい!」(島)
「いいじゃないか、今日は結婚祝いだ!主役はアルファー星の先にいるけどな!
パーっと行こうぜ!」(南部)
島はじーっとビールを眺めていたが意を決して一気に飲んだ
「そうそう、そうこなくっちゃ!」(南部)
「航海長!飲め!飲んで言っちゃえ!!」(太田)
「おう!言うぞぉ~俺はなぁずーーーーーーーーーっとユキを見てきたんだ!
中央病院ですれ違ってからずーーーーーーーーーっとな!その時あのバカも
横にいたんだけどよぉあいつもぼーっと見ちゃっててよぉ…お互い…一目ぼれ
だったんだ。実は直前にユキにそっくりな女性を見たんだ。最初は驚いたさ。
埋めた異星人が生き返ったかと思うほどだった…スターシアさんがユキと妹を
間違えただろ?本当にそっくりだったんだ。俺達も見間違えるほどだったから。」
島は嬉しそうに告白した
「本人にちゃんと言うべきだったな…玉砕覚悟で…な。」
島が笑いながら目にいっぱい涙をためていた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 3 作家名:kei