続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4
「古代が戦闘科でそのまま戦闘科の戦闘機の方へ配属された後、砲術科に移動
した時みんなで言ってたんです。
私が大型艦を操縦して古代が戦闘指揮をとって加藤と山本が戦闘機のパイロット
として乗り込む、って。相原は通信士として乗せてやろう、って…ヤマトに乗り込ん
でそれが本当になってすごい嬉しかったんです。私と古代は多分一緒だろうな、と
火星の訓練でなんとなく思っていましたが加藤と山本、相原は一人だったから
まさか…でした。訓練予備生に選ばれた事、今では本当に感謝しています。でも
それは私だけじゃなくて古代も加藤も感謝してると思います。」
島がそう断言するように言うと
「…そうか。島がそう言ってくれるとあの二人もそう言ってくれてるような気がするよ。
ありがとう。」
藤堂がそう言うと運転手が
「長官、そろそろ森秘書の実家に着きます。…あの角の家ですね。」
ユキの実家はトウキョウシティでなくヨコハマシティからほど近いところにあった。運転手はユキの実家の前にエアカーを止めたので島が降りて藤堂が降りた。
運転手は二人が降りたのを確認すると藤堂に会釈してエアカーを走らせた
「…行こうか…」
藤堂の一言で島がインターフォンを鳴らした
<…どなたさまですか?>
男性の声がインターフォン越しに聞こえてきた。
「藤堂です。」
藤堂は島の横に立ちカメラの前に立った
<…藤堂さん?どちらの?>
インターフォン越しの声はちょっと不思議がっているように聞こえた
「遅くなりましたが…地球防衛軍の長官をしております…藤堂です」
相手は慌てた様子でインターフォンを切ると玄関の扉を開けた
「初めまして…わたくし、地球防衛軍司令本部の長官の藤堂です。」
そう言って深々と頭を下げたので島もそれに習い一緒に頭を下げた
「…長官ともあろうお方がこんなところまで…すみません…どうぞ…」
玄関に出てきた男性はおそらくユキの父親だろうと藤堂と島は思った。男は玄関を入ると“どうぞ”と言いながら広いリビングへ二人を進めた
「どうぞお座りください」
台所からグラスに氷の入るの音が聞こえたので
「あ、どうかお構いなく」
と藤堂が言ったが
「いえ、随分遠かったですよね。リニアだと随分整備されてるんですがエアーチューブ
はまだまだでして…」
男は慣れない手つきで飲み物を運んできた
「冷たいお茶しかなくて…どうぞ」
「「ありがとうございます」」(藤堂、島)
するとユキによく似た…でもユキより少し小柄が女性が入ってきた
「…すみません…」
今にも倒れそうでふらつくと男がそっと支えた
「奥で休んでた方がいいんじゃないか?」
「…でも…それじゃお客様に失礼ですわ。」
男の支えで女はソファーに座ると
「申し遅れましたユキの母と…私は父親です。大変…お世話になりました。(ソファー
にもたれかかった母を見て)訃報が届いてからずっとこんな感じで…でも誰かが来る
としっかりしなくちゃ、と思うらしく…」
父は涙目で母を見た。そして藤堂から島に視線を移すと
「…キミは、島くん?かな?」
そう言って優しく笑った。
「…なぜ私を?」
島が不思議そうに聞くと
「ユキの部屋に写真がたくさん飾ってあってね…いつのかわからないけど中央に
ユキがいて両隣りに古代くんとキミが写ってるのが大きい写真で飾ってあるん
だよ。」
そう言って父親は席を立つと手に写真立てを持って戻って来た
「ほら…めったに横浜には戻ってこないんだけど戻ってくるとその写真はきれいに拭
いてから帰っていたよ。よほど大事な写真なんだろうな、って言ってんだ。」
島はその写真を手に取ると
「イスカンダルの帰りに第一艦橋のクルーで写真を撮ったんです。私も…一番大切
にしてる写真です」
島はそう言うと写真を見ながら“古代…”と呟きながら涙が出てきてしまった
「ユキは?」
唐突にユキの母が天井をみながらつぶやいた
「お母さん、ユキはね戻ってないんだ。進くんと一緒だ。」
父はユキの母の隣に座ると手を握ってそう言った
「いつになったら戻ってくるのかしら?ドレスだってそのままなのに…ホコリ
かぶってしまうじゃない?」
ユキの母の反応に藤堂と島はすぐわかったので
「お母さん、ちょっと奥で寝た方がいいよ。」
父がそう言って母を立ち上がらせると奥の部屋へ連れて行った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4 作家名:kei