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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4

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しばらくすると父が戻って来た

  「大丈夫ですか?」(藤堂)
  「ユキが死んでしまった事を受け入れられない様子なんです。医師にも相談しま
   したがしばらくそっとしておいた方がいいだろうと言う事で…今睡眠誘発剤
   飲ませましたのでもう眠ってると思います。」(父)
  「いずれ…判ると思うのでそれまでは…無理に信じ込ませなくてもいいかな、と…
   私がしっかりしないといけないので…それもまた辛いんですけどね…」

父親はそっと涙を拭いた

  「辛いところ…すみませんが…」

島がカバンを開けた

  「ユキさんの…遺品です。古代が私に預けて逝きました。」

ユキの小さなバッグをテーブルに乗せた。父親はそのバッグは見ず島の顔を見ながら聞いた

  「あの子はなぜヤマトに乗っていたのですか?進くんは私に“乗せない”って言ったんだ
   それなのにメールが入っていて…」
  「…メール?」(藤堂)
  「えぇ…結婚式はキャンセルしてほしい、と私もヤマトに乗るから。古代くんが
   ダメって言っても乗るの。…と。進くんがダメだと言ったら絶対乗れないはず
   なのにと思っていたからいつか戻ってくるだろう、って連絡来るだろう、って
   待ってたんです。そしたら地球が大変なことになって…落ち着いたと思ったら
   防衛軍から連絡が来て…それから妻はおかしくなってしまうし…」

父はもう涙も出ない、と言う感じだった

  「ユキは…一度古代に追い返されました。でもユキは古代の婚約者以前にヤマトの
   メインクルーということに誇りを持っていました。だから密航してまで乗り
   込んだんです。古代はユキが乗ってる事全く知りませんでした。知った時は
   すでに太陽系のはずれにいたので下ろす事も出来ませんでした。」

島が毅然と答えた

  「…そうだったのか。ユキは…自分の意思で乗り込んだんですね」(父)
  「はい…ユキさんはヤマトの中にいて当然の人でした。」(島)
  「ユキは…なぜ…死んでしまったんだ?」(父)

島は息を飲んだ。一番知りたいところだろうけど一番辛い部分でもある…それはユキの父にとっても自分自身にとっても…そして乗艦を許した藤堂にとっても…

  「ヤマトはガミラスのデスラーによって一時危険な状態になりました。そこで
   白兵戦を挑みヤマトは勝利しましたがユキはその時腹部に敵のレーザーガンで
   被弾して負傷しました。その戦闘でたくさんの負傷者がでて…それでもユキさんは
   耐えて…最期はヤマトの第一艦橋で…古代の腕の中で息を引き取りました。
   まるで眠っているかのようでした。」

島は涙をこらえてそう告げた

  「進くんは?」

父は涙を拭きながら聞いた

  「古代は…ヤマトとユキと一緒に…逝ってしまいました」

島は我慢できず涙がボロボロ落ちてきた。

  「なぜ…ユキを下して行ってくれなかったんだ?」

父としては当然のことだと島は思った

  「古代を…ユキと二人だけにしてあげたかったんです。結婚式を一番楽しみに
   してたユキ…家族がいない古代に家族になってあげられるのは私だけ、って常々
   言っていたユキだったので二人で旅発たせてやりたかったんです。」(島)
  「私達にとってもたった一人の娘なんだよ。」

父の言葉に島は何も言えなかった

  「森さん…島を責めないでくれますか?ユキをヤマトに向けさせたのは誰でもない
   この私です。」

藤堂が静かに話した

  「ユキは悩んでいました。でも古代のそばにいたい一心でなんとかヤマトに乗り
   込もうとしていました。だから私はユキに指令を出しました。“古代が降りる
   まで絶対に離れないように”と。ユキは…私の命令を忠実に守っただけなんです。
   だから島を責めないでください。あの二人の事は私もよく知っています。
   誰もあの二人を引き離す事はできないでしょう。」

藤堂がそう言うと父はユキの小さなバッグに眼を移した

  「私たちは何一つ親らしい事をしてやれなかったんです。中学入学前に大学へ
   進学するのも大反対して進くんとの結婚も許さなくて…結婚許してからは少し
   でも力になりたいと思ってましたがユキが全て受け取らず…もっと親として
   寛大にあの子を育ててあげればよかったと後悔しています。その思いを結婚式の
   前日にでも話そうと思っていたのにそれも叶わず…」

父は泣きながら告白していた

  「もう…なにもしてあげられません…」

力なく言う父に島が

  「お願いがあります」

と言った