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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 4

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島は自分のバッグに詰め直した進の遺品をテーブルに出した

  「古代の遺品です。あいつは何も出さなかったのですが退艦するときに勝手に持って
   きました。あいつの遺品は誰も受け取れる人がいません。だからユキのと一緒に、
   と思って…」

父はテーブルに乗った二つの小さなバッグを眺めた

  「私は息子がほしかったんですよ。そして成人した息子と飲むのが夢だったんです
   残念ながら息子は授からず…でももうすぐでした。もうすぐ息子が出来るはずだった
   のに…

   進くんの遺品は私が預かります。」

涙声で父はそう言った






  「奥様の体調が悪いのに長々とすみませんでした」

藤堂と島が深々と頭を下げる

  「いえ、遠いところまでありがとうございました」

父も頭を下げた





ユキの実家を出てしばらく歩いていると朝のエアカーが追いついてきて横に付けた

  「お待たせしました。」

運転手がそう言うと扉が開き藤堂が乗り込むと“さぁ”と言って島を促したので島も藤堂の横に乗った

  「島、これから何か予定はあるか?」(藤堂)
  「いえ、何もないですか?」(島)
  「じゃぁこれから英雄の丘に行かないか?今工事中なのは知っているだろう?」(藤堂)
  「はい」(島)
  「打ち合わせに行くぞ」(藤堂)
 
島はそれを聞くと大きく“ハイ”と言った














ユキの父はテーブルに乗った二つのバッグを持って寝室へ向かった。すると母が起きていた

  「あなた…」

母は父の持っているバッグを見ると

  「ユキのバッグ!」

と言って奪うように取りベッドに座った

  「これね、ユキが小学校6年生の時買ってあげたバッグ…」

そう言って中身を見た

  「なぜ?なぜこんなものが入っているの?…ポータブル端末…携帯…身分証明書
   それと…ユキのマネーチップとこれ、進くんの…チップ…」

いろんなものが入っているが常に身に着けていなければいけないものばかり…。端末を開くと手紙らしき便箋が挟まれていた

父もベッドに腰かけて一緒にその便箋を見た






    お父さん、お母さんへ

   あんなメールで結婚式もキャンセルしてもらって本当にごめんなさい。

   元気に地球に戻る予定でいたけどどうも無理みたいです。戦闘中にけがをして
   しまいました。経験上良くなる事はないでしょう。ただこのままベッドの中で死ん
   で行くならみんなと一緒に戦いながら…第一艦橋でその時を待ちたいと思って
   います。

   お父さんとお母さんにお願いがあります。

   もし私が死んでしまって古代くんが生きて還っても彼を責めないでほしいの。
   たくさんの友人が戦って死んでしまって…彼が一番傷ついてるはずなの。
   だから彼を私と思って見守ってほしいの。将来彼女が出来て結婚しても暖かく
   見守ってあげて。彼が幸せでいる事が私の幸せなの。

   古代くんは私を連れていくつもりは全く無かったの。でも私は古代くんの婚約者
   より前にヤマトの乗組員であってメインクルーなの。置いていかれるのはイヤ、
   私も仲間だから…。でも足手まといになってしまいましたが

   中学入ると同時に実家を出てしまったので余りかわいくない娘だったと思うけど
   私はとても充実した人生だったと思っています。普通の医者になっていたら
   イスカンダルにも行けなかっただろうし古代くんと出会う事もなかったと思います。

   自分の人生は自分で切り開くもの…そう信じてきて本当に良かったって思います

   お母さん、あのお見合い攻撃は本当に困りました。めちゃくちゃ困りました。
   ただ今わかるのはお母さんがとても幸せで私にその幸せを感じてほしいって
   思ってる事…ただこれは古代くんの受け売りです。古代くんがそう言ってたので
   自分達は誰が何と言うと誰よりも幸せにならないといけないんだ、って思いました

   ただ私は古代くんに幸せにしてもらおうなんて全く思っていない。それはこんな
   体になってしまった今も思っています。これはお母さんにはわからないかな?



   今まだ病室で寝てるんだけど時々古代くんが様子を見に来てくれます。
   今までも長い航海の間で地球による休憩時間とかたまたま遠征先が合致した
   時とか数分でも会う時間を作ってきました。それと同じような感じでほんの少しの
   時間でも手を握ってくれるだけでもすっごく暖かくて嬉しかった。

   だから私誰よりも幸せだって自信を持って言えます。



   ただ人生で一番の親不孝をしてしまう事を許してください。




                                    森 雪