続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5
島たちは談話室を陣取りながら英雄の丘で行われる戦没者式典を行うに当たり企画を練っていた
「救命艇の展示…それだけは忘れないでほしいな。ヤマトに関するもの全て消えて
しまって…救命艇がヤマトの証明だから…」
相原がそうつぶやくと
「そうだよな、これに乗って戻ってきました、だしな。最期…第一艦橋にいる古代と
挨拶したところだしな…」
南部もつぶやいた。
「おい、会議の方向がズレてるぞ。」(島)
「さて…どうするかな…なんか案、あるか?」(南部)
「う~ん…まず遺族は軍から連絡入れてもらって…それから何から始めるか、だよな」
島があごに手を当てて考え始めた
「島、悩み方が真田さんになってるぞ」(太田)
「うるさい、真田さんと違ってすぐ名案は出てこないぞ」(島)
「真田さんならどうするかな?」(相原)
「そうだな、あの人も表だって出る人じゃないからなぁ…案だけ出してあとはよろしく
だろうけどきっちり基礎固めてくれそうだよな」(山本)
この時山本が“あ!”という顔をした
「どうした?山本?」(島)
「いや…ハデになりそうだな…」
今度は山本があごに手を当てて考え始めた
「なんか浮かんだか?」(島)
「いやね、加藤がさ一番喜びそうなの思いだしたんだよ。あいつ航空ショー大好き
だったんだ。」(山本)
「…そう言えばきっかけが…」(相原)
「だからさちょっとハデだけど加藤のためにどうかな?って思って…オープニングで
ちょっとさ…」
山本がみんなの顔を見ながら
「…で、お前らも一緒に飛べ」
珍しく命令口調で言った
「艦載機のライセンスを持ってるやつは操縦して持ってないやつは後部座席に乗って
登場しようぜ?加藤と古代は絶対一緒に飛んでる気分になるはずさ。それに…」
一瞬山本が言葉に詰まった
「コスモタイガー隊は全滅した…最後みんなと一緒に青い空を飛びたい。俺達すぐに
月面基地に配属になって青い空を飛んでないやつのほうが多いんだ。だからさ…」
山本の案に島がうなずくと
「基本、艦載機の操縦は小型で出来るはずだからな。一緒に飛ぼうか…でも着陸ど
こにするんだ?ヘリポートじゃまずいだろ?」(島)
「駐車場を使おう。それなら大丈夫だろ?」(山本)
「あぁ、あの駐車場のスペースがあれば大丈夫だな。よし、それ採用。」
島がそう言うと相原が端末に議事録のように記載していく
「他なにか案、あるか?」
島はみんなの顔を見た
「相原、入るぞ?」
島が相原の部屋に入ってきた
「今日、ありがとな。さっきメールで見たよ。お前やっぱり秘書向きだよ。通訳不要の
秘書なんてマジ長官ありがたいと思うだろうな。」
島がイオンドリンクを相原に投げながら言った
「でもユキさんも多分通訳なしで大丈夫だったと思いますよ?」
相原が“サンキュー”と言いながら受け取った
「だな…みんな陰ですごい努力してたんだな…。ほんと、あの戦いがなければみんな
幸せだったのにな…」
もう過ぎた事で仕方ないと思いつつ島はどうしても納得できなかった
「島…」(相原)
「わかってるんだ。どんなに悲しんでも叫んでもヤマトは…古代も真田さんも…誰ひとり
帰ってくる奴はいないって…でもな、どうしても…」
島はそういうと涙をぬぐった
「泣きたい時は泣いた方がいいよ。きっとみんなは笑ってると思うけどさ。」
相原はそう言って泣きながら笑った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5 作家名:kei