続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5
「ゆっくり話せる時間がほしいんです。乗り込めなかった元乗組員も声をかけてほし
いんです。一緒に戦いたかったと言う気持ちがあった連中は絶対来ると思います。
イスカンダルへ一緒に行った連中は…家族と同じなんです。そしてあの丘に行けば
家族に会える…そんな気持ちで来てくれればいいと思っています。」
島がそう言うと
「…家族か。」
藤堂はそうつぶやくと古代の顔を思い出した。
「残念ながらほとんどが逝ってしまいましたが…でも今は18人ですがその18人が結婚
して子供ができたらもっと大人数になって向こうより賑やかになると思うんです。
そしたら古代に自慢してやろうと思います。こっちの方が賑やかだぞ!って。」
島はみんなの未来を想像した
「島もだよ。」
藤堂がしっかり島をみて言った
「君も幸せにならないといけない。みんなの幸せを見てるだけじゃだめだ。
古代だって気が気でないはずだぞ?古代はみんなの幸せを見てる。だから島も
幸せにならないとだめだ。」(藤堂)
「長官…」(島)
「ユキのような女性はなかなか現れないかもしれないがな」
島の気持ちを見透かしたように藤堂がコーヒーを飲みながら言うと
「長官!」(島)
「いや、今更…ははは、図星のようだな。」(藤堂)
「いえ、本当は私の勝ちだったんですよ!」
島は思わずポロっと言ってしまったあと“しまった”と言う顔をした
「島の勝ち?」
藤堂が突っ込むと
「え…いや…なんでもありません」(島)
島の歯切れの悪さに藤堂が
「ユキとの間に何かあったんだね?…それもちょっと嬉しい事のようだな。
どれ、話を聞こうか。」
藤堂はそう言うとどっかり腰を据えて聞く準備をした。島はしまった、という顔をしながらも嬉しそうに
「…実はユキが亡くなる前にメインクルーと加藤と山本に手紙を書いていたんです
それを先日見つけまして…過去形のラブレターだったんですよ。」(島)
「過去形?」(藤堂)
「えぇ…出会った当初は古代じゃなくて私だったらしいんです。ユキも気付かない
間にいつの間にか古代に傾いたらしいです。だから乗り込んですぐ私が告白して
いれば運命変っていた、と言う事ですね。」
島は笑いながら話した
「私も古代も最初ユキと真田さんは付き合ってると思っていましたから…全く告白する
勇気もへったくりもありませんでした。まぁお互い抜け駆けしないように目を光ら
せていましたが…」(島)
「ははは、若さだな。」(藤堂)
「でも今は古代でよかったって思っています。もし他の奴だったら殴ってでも奪ってた
かもしれません。」(島)
「そうか…」(藤堂)
「こないだメインクルーでその話になって…そしたら全員が全員ユキでした。
古代はすごい競争率の中勝ち抜いたことになります」
藤堂は島の言い方に笑ってしまった
「ははは、私はユキが直接口説かれたりしないかその監視役だった。私を介して
なんとかしようという輩もいて大変だったがね。」(藤堂)
「ユキならどんな大富豪も夢じゃなかったはずですがね…」
島は残念だなぁ、と呟いた
「もし、雨が降ったらどうするのかとか考えてるか?」(藤堂)
「…すみません、何も考えてないです」(島)
「まぁ季節がら寒い時期だからあちこち火を焚いて…架設でも建てるか」
藤堂がそういいながら
「後は我々に任せて…まず工事が終わってから日程を詰めるよ。何かが決まったら
メールするからそれをみんなに転送してくれ。」
藤堂はそう言うと“お疲れさん”と言って島を解放した
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5 作家名:kei