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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 5

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島は携帯を握りしめて電話しようかどうしようか悩んでいた。

  (慰霊祭にユキの両親を呼ぶべきかどうか…)

島は大きなため息をひとつついて先日かかってきたユキの父親に電話をしてみた

しばらくしてユキの父親が電話に出た

  <やぁ、島くん。先日はありがとう。>

ユキの父親は思ったより元気だった。

  「いえ、こちらこそ突然お邪魔したのにありがとうございました。」

島は少しかしこまって答えた

  <島くん、今どこにいるのかね?>

島は唐突にそう聞かれ“寮です”と答えた

  <今仕事でトウキョウシティにいるんだが…仕事が終わったところなのでもし島くん
   さえよければ少し話さないか?>

突然の事だったがちょうど慰霊祭の話もしたかったので快く

  「はい、私も話したい事があるので…森さんの指定したところへ伺います。場所を
   転送していただけますか?………ありがとうございます。今からですとリニアで
   15分くらいで行けると思いますので少々お待ちいただけますか?」

島は場所を確認すると上着を一枚羽織り部屋を飛び出して行った









  「すみません、お待たせして…」

ユキの父親がいたのはホテルのロビーだった。

  「仕事の打ち合わせでね…ココを使ったんだが…落ち着けるところがいいと思ってね。
   喫茶室があるからそこへ行こうか。」

ユキの父親がゆっくり立ち上がると島が後に続いた

  「実はね…本当はここに来る事がおととい決まってね…島くんに連絡しようかずっと
   考えていたんだよ。まさか本人から電話があると思わなかったからすごい驚いたん
   だけどね。私、変な出方しませんでしたか?」

ユキの父は先日とまるっきり別人の顔をしていた

  「いえ…」

島はどう切り返そうか考えて言葉がうまく出なかった

  「私が思ったより元気で驚いているだろう?」

島は図星だった

  「あれから妻も少しずつ元気になって家事も何とかこなせるまでになった。おかげで
   私も仕事に復帰することができたし…島くんには本当に何とお礼を言ったらいいのか
   わからないぐらいだよ。実はあれから進君の荷物を解いたんだ。その荷物の中に
   小さく畳んだナップザック…入ってたの覚えてるかな。」

島は最初ヤマトに置いていこうと思ったがナップに引き出しに入ってるものを突っ込んだ。しかし私物が余りない進だったのでナップはいっぱいにならず月基地で別の箱に詰め直した時にナップも小さく畳んで一緒に入れたのを思い出した。

  「はい。」(島)
  「その中にね、ユキが進くんに書いた手紙が入っていたんだ。」

ユキの父はそう言いながらバッグからピンクの便箋を出した

  (…同じだ。)

島は何も言わずその手紙を受け取った

  「ユキの気持ちが書いてあった…。」

島は“失礼します”と言いながら便箋を開いた

     〈古代くんへ

        ごめんなさい。こんなケガして…けがの治療の手助けをしなくては
        いけない立場の私なのに本当にごめんなさい。だけど時々来てく
        れてありがとう。今までの二人の時間の中で一番幸せな時間を          
        過ごす事ができました。
        お付き合いできたのはほんの一年で、でも一緒に過ごせた時間は
        とても短かったけど私は古代くんと一緒の空間にいるだけで幸せ
        でした。普通にお付き合いしていたらほんの一瞬の時間がこんなに
        大切だなんて気付かなかったと思います。
        贅沢を言えば近い将来その一瞬がずっとになる事を希望していまし
        たが多分私の体は地球へ戻れないと思います。
        私は頑張りたいけど体が無理だと言っています。
        古代くんが地球に戻った時私がいなくてもきっと大丈夫。
        古代くんにはみんながいるでしょう?

        今は何も考えられないかもしれないけど地球に戻ったら忙しくなって
        いつか…すてきな彼女もできる事でしょう。

        私の希望は古代くんが幸せになる事。もちろんその相手が私であっ
        ってほしいけど多分無理だから…だからステキな彼女と出会って
        ステキな家庭を築いてください。

        古代くんの事だからきっとステキなパパになる事でしょう。

        私の最期のワガママ聞いて
        その時が来ても心の隅に私を置いてください。

        本当にありがとう       愛を込めて           森 雪