続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
YUKIは無事着水した。艦首にあるイカリが下された。
「よく頑張ってくれた。YUKIは無事イスカンダルに到着した。君達には懐かしい
風景なのだろう…すばらしい星だな。連れてきてくれてありがとう。
しかし我々にはまだ使命がある…辛いだろうがよろしく頼む。」
藤堂はこれから守に伝えなくてはいけない事を思ったのか笑顔はなかった
YUKIがタラップを下ろすとそこへ数隻のボートが現れ乗組員を乗せてマザータウンに近い港へ付けた。以前スターシアが立っていたところにふたりの影が見える。
(2人共お元気だっただろうか?)
島達はその陰に向かって歩いた
「お久しぶりです。こんな遠くまで…来てくれてありがとう。」
スターシアは島と握手をした。守は何も言わずその様子を見ている。
「YUKIの艦長の藤堂です。」
島は藤堂を紹介した。守は藤堂に頭を下げた
「イスカンダルのスターシアです。お疲れでしょう?さぁ…こちらへ…」
藤堂も島もどう切り出したらいいのか分からずとりあえず建物の中へ入ることにした。
マザータウンの中に入るとすでに食事が並べられていて座り心地のよさそうなソファーが並べられていた。
「さぁ…今日はこちらでおくつろぎください…」
スターシアがそう告げるとふたりは部屋を出ようとしたが藤堂がそれを止めた
「守…話がある。待ってくれ…」
守が振り返るとスターシアも止まった
「守…私はキミに大事な事を伝えに来た。(扉の所にいる守のところへ行って)
古代 進が…先の戦いで戦死した。命を掛けて地球を救ってくれた…。」
藤堂は涙をこらえてそう告げた。スターシアは驚いた様子で守と藤堂を交互に見た
「…長官…何となく…そうではないかと思いました。艦の名前を聞いた時そんな
予感がしたんです。降りてきたクルーの中に進がいなかったので…」(守)
「守…すまない…本当にすまない…沖田の子供たちを守り切れなかった…沖田
にも顔向けできない…」
藤堂は守の肩に手を掛けて何度も“すまない”を言った
「…長官、でもそれが戦いなんです…誰かを責める事なんてできません。長官、
お願いです、そんな風に謝らないでください…長官も手をこまねいて見てるだ
けじゃなかったはずです。長官は…そう言う方です。」
守はスターシアの顔を見て
「実は…随分前になりますがスターシアが不思議な夢を見ました。宇宙空間に
真っ白な高速で移動する星を…それから間もなくでした進と森さんの夢を見た
そうです。森さんが真っ白なドレスを来て抱えきれないほどの花束を持ってい
る…と。周りにはイスカンダルに来たクルーがいて足元には真っ赤なバラが
敷き詰められていたそうです。森さんの横には進がいてクルーはその二人を
囲むように勢ぞろいしていた、そうです。
その時思ったんです。ひょっとしたら大きな海戦があって進と森さんが命を落と
したんじゃないか…と。」
スターシアの目から涙が落ちているのを守がそっと拭う
「進も森さんも幸せそうに笑っていた、と…イスカンダルの王家の者は地球で言え
ば超能力、と言う感じなのかな、直感や正夢をみるそうです…
そうですか…進が…信じられないな。森さんと仲良くしてると信じたかったから…」
守は力なくそうつぶやくと
「…長官、すみません…今日、それ以上の事聞く勇気がありません…明日…」
そう言って藤堂の顔を見た守の眼は真っ赤だった。守はそう言うとひとり部屋を出て行ってしまった。スターシアも一瞬一緒に出ようとしたが立ち止り
「すみません、突然の事でどうしたらいいのかわからないんだと思います。少し…
守に時間をください。この階ともう一つ上の階にある部屋、どこでもいいのでお使
いください。」
スターシアは島を見て話していた
「…島です…何かあれば私を呼び出してください。」
そう告げると
「島さん…。早速ですが少しお時間頂けますか?」(スターシア)
「はい。」
スターシアは島と一緒に部屋を出て行った。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei