続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
島の連れてこられた部屋はイスカンダルに来た時いつもスターシアがいた部屋だった。
「お疲れのところ、ごめんなさい。」
スターシアの切れ長の美しい瞳から涙が落ちる…
「守に教えてもらったの。見送ってくれた弟と一緒にいる女性が将来義理の妹に
なるかもしれない、って。ユキさんは私に大切な事を教えてくれた人…
大切な人と幸せになるために一歩踏み出さないといけない事教えてくれたわ。
きっといつかその報告に来てくれると…待っていたの…そしたらあの夢…
まさか、って思いたかった…でも何度も繰り返しみるその夢はどんどん私達に
近付いて来ていたの。」
島は黙って聞いていた
「お願い…どんな戦いがあったのか…教えて。テレサさんの事も…教えてほしいの」
島はじっとスターシアを見た。一人になる事の寂しさを一番よく知ってるスターシアなら守を支えられるだろうと思い話を切り出した
「最初…古代が乗っていた艦がナゾの通信をキャッチしました。後からそれは宇宙の
危機を知らせるメッセージだったと分かったのですが当時は何も分からず地球防衛
軍の会議にかけましたが全く取り合ってくれず…私達イスカンダルに行ったクルー
達はそのメッセージを確かめるためにヤマトを乗っ取った形で地球を出発しました。
地球を出る前にコスモクリーナーDを組みたてた真田というものが地球へ向かって
くる彗星を発見し危惧していたところというのも地球を出た一つの要因でした。
ヤマトはそれからしばらくしてテレサの星を見つけ出し救出に成功しました。
しかし彼女は私たちから見たら“反物質”の世界の人で手を取り合って戦う事は
できない、とテレザートから解放されてどこかへ行ってしまいました。
それからヤマトは死んだと思っていたデスラーと闘いました。デスラーはその彗星
帝国に救われてヤマトに戦いを挑んできました。
地球に向かって来ていた彗星はガス帯をまとった彗星帝国でその帝国の中に
見た事もない超巨大戦艦がありました。ヤマトはガス帯をとり彗星帝国の中に
入り込んで動力炉を爆破したまでは良かったのですが最後超巨大戦艦が出て来
て…その時古代が…ヤマトと一緒にその巨大戦艦に…」
島は辛そうに何度も言葉に詰まりながらスターシアに話した。
「…ユキさんは?」(スターシア)
「ユキはデスラーと戦った時デスラーと古代をかばって被弾しました。その時の傷が
癒えず…無理を押して戦闘に参加して…最期古代の腕の中で息絶えました。」
スターシアは我慢できず泣きだしてしまった
「最期…ヤマトが特攻する時宇宙空間が金色に輝きました。テレサが現れたのです
テレサが“反物質の体が役に立ちます、一緒に行きましょう”と言って…間もなく…」
島は久しぶりに泣いた。
「古代は…最愛のユキとヤマトと一緒に…でもあいつは俺にこう言ったんです。
“たかが十数年で終わってしまう命を永遠に続く命に代えに行くんだ”と。私も
ほかのクルーもヤマトと…古代と一緒に行きたかった。みんなと一緒にいたかった
だけなんです。
古代は…ヤマトが飛び立つ予定だった二日後、ユキと結婚することが決まって
いたんです。ユキはイスカンダルからの帰りに一度仮死状態になり…古代に
至っては地球に無事着いても自殺してしまうのではないかと思うほど憔悴しきって
いました。ご存じの通り古代は肉親が守さんしかいません。守さんが生きてるって
分かっても地球にいない…古代にはユキしかいなかった…ユキもそれがよく
分かっていて…本当に幸せそうだったんだ…二人でいられる時間は余りなかっ
たけどほんの10分逢えるだけ、の時間が宝物みたいだった、ってそう…」
島の涙は止まらなかった
「きっとみんなイスカンダルへ着いて二人に挨拶して宇宙の果てまで…航海する
つもりなのかもしれません。あのYUKIは真田さんが設計しました。真田さんは
守さんの同期で親友…一番の友達でした。守さんは私達の中に真田さんが
いない事もショックの一つだと思います。真田は…都市帝国の動力炉を
破壊するために…動力炉に残り…」
もう…何も言えなかった。整理できたつもりだったがやっぱり島も辛かった
「どうして…俺も一緒に連れて行ってくれなかったのか…今までずっと一緒だった
のに…後悔しても戻れないって分かってるけど…生きてる事が時々息苦しいん
です。あいつらの笑ってる姿見てると辛いんです…」
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei