続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
「お世話になります。今回もごひいきしていただいてありがとうございます。ご予約
のお花全部お持ちしました。」
持ってきたカーゴいっぱいのお花に周りの人の視線が自然と集まる。花に加えヤマトの乗組員、特別の隊員服も人の眼を引いていた。
「…あの、これ…スズランなんですけど…ちょっと季節外れでたくさんそろえる事が
出来なかったんですが一緒に、お願いできますか?」
ほんの5本ほどの小さな花束だった
「ご結婚の時にもらう花束で“スズラン”の花束をもらうと幸せになる、ってジンクスが
あるんです。前回はお店になくて…で、スズランって球根なんです。もしよろしけれ
ば英雄の丘の一角に植えてもらえないかしら、と思って…」
オーナーはそう言うと島に球根の入った袋を渡した。
「球根は自然と増えます。」
そう言いながらお辞儀をすると一人一人花の種類とオーダーした人に渡した
最後島の青いバラとトルコキキョウと紫のバラが残った
「また、お高いバラをご購入頂いて…ありがとうございます。バラがひとつあります
あの、藤堂様とおっしゃる方…」
「あぁ、その方の私が一緒にお持ちしますから大丈夫です。」(島)
「そうですか、人数と合わなかったので間違えちゃったかと思いました。よかった!」
カーゴにはよく似たバラの花束が二つとよく似た色のトルコキキョウの花束が入っていた。
「青いバラとトルコキキョウ、紫のバラ…です。ありがとうございます。」
カーゴが空になった。
「今回もすぐ御戻りですか?」(オーナー)
「いえ、今回は長い航海になります。しばらくはあの地点にも行けないと思いますが
また次回行く時お願いすると思いますのでその時はよろしくお願いします」
島が丁寧にそう答えるとオーナーは嬉しそうに
「はい、こちらこそよろしくお願いします。航海のご無事をお祈りしております。」
乗組員は全員お礼を言って“YUKI”に戻って行った
「長官、お待たせしました。」
島が艦長室へバラを持ってきた
「ありがとう、…あぁ、思ってたよりキレイだな。」
藤堂は香りをかいで満足そうに言った
「紫のバラの花言葉は「誇り」「気品」なんだと。まるで古代とユキを足して2で
割ったような花だと思わないか?」
藤堂はそこから一本抜くと前もって用意していた一輪刺しに生けた
「インターネットで見たとき余りにもきれいだったから花言葉とかまるっきり
考えずこれにしたが正解だった…。太田が“黄色のバラ”の花ことばを教えてくれ
なかったら調べることもしなかったと思うがな。」
藤堂はもう一本抜くとそれを島に渡して
「これを…ユキの席に置いてくれるか?」
そう言ったので島はそれを受け取ると
「了解しました」
と言って敬礼して艦長室を後にした
島は一本の紫のバラを持って艦橋に降りてきた。
「あれ?それ…」
相原が満足げにひまわりを眺めていた。
「長官がユキの席に置いてほしいって。」
そう言ってレーダー席にそっと置いた
「枯れちゃいますよ?」(相原)
「ドライフラワーにするか?」(南部)
「あの空間に出れば一瞬でドライフラワーになりますよ。」(太田)
「そうだな、数時間後には行くからな…少しの時間ならココで大丈夫だろ」(島)
島は満足そうに紫のバラを見つめると自分の青いバラを一本取り出して進の席の隅に置いた
「ユキばっかり、ってお前言いそうだからな。」
「YUKI出航準備整いました。」
島がインフォで艦長室にいる藤堂に告げると
「よし、島、予定通り出航せよ。ルートは任せる…頼むぞ」
藤堂は一輪刺しの横に端末を置いて相原からもらった古代とユキの写真を呼び出しその横に沖田が最後まで握りしめていた沖田の家族の写真を置いた
しばらくすると軽いGを感じた
「沖田よ…これから古代とヤマトが行方不明になったところへ行く…お前も連れて
行くよ。すでにおまえは乗っているかもしれないがな…。古代、ユキ…君たちの
結婚式、私も楽しみにしていたんだよ。残念だった…」
藤堂は端末の写真をそっとなでた。
「沖田…すまなかった。何があっても守りたかったのに力及ばずで本当にすまん…
多分、少し遅れて私もそこへ行く。その時お前の小言を聞こう…」
藤堂は沖田の家族の写真を写真立てに入れて持ち込んでいた。写真の中の沖田が少し笑ってるように見えた。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei