続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
月基地を出港して1時間くらいするとヤマトが消滅した地点に着いた。
「目標地点到着。総員宇宙服を着用し甲板へ」
島のアナウンスを聞いた乗組員は速やかに宇宙服を着て甲板へ出た。みんなが花束を抱えていた
最後藤堂が甲板に出ると総員整列して艦長を待っていた
「ここが…ヤマトが行方不明になったところ…本当に何も…無の地点だ。」
島から聞いていたが全てが消滅してしまったと言う事に驚いていた。あれだけの巨大戦艦もヤマトも…何もかも跡形もなく無くなってしまっていた。
藤堂がぼんやりまわりを見ていたので島が近寄り
「長官…何も、残っていないんです…。すごい力ですよね…」
さすがに島は3回目とあって見慣れた風景を見るように見渡した
「長官、お願いします。」
相原が島の後ろにいてそう告げると藤堂は我に返って
「あぁ、すまん」
と小さな声で返した後島と相原を横に従え
「君たちが先日来た場所であるが私は初めて来たので思わず言葉を失ってしまった
本当に辛い戦いだった。君たちに大きなものを背負わせてしまって本当に悪かった
と思っている。今日はどうしても私もここへ来たかった…連れてきてくれてありがとう
イスカンダルへの道程も無事に済み何事もなくここへ戻ってこれるよう願いしばらく
ここでゆっくりしてほしい」
藤堂はそう言うと自ら購入した紫のバラのリボンを解くと先にライスを袋から出して
「先日君たちが撒き忘れたモノだ」
藤堂はそう言って取り出したお米を一気に宇宙空間にばら撒いた。すると一斉におぉ~と感嘆の声が聞こえ
「島、大事なもの忘れてるじゃないか!」
なんて声も聞こえてきた
「じゃぁ先に…」
藤堂は続けて紫のバラをばら撒いた
「古代…ユキ。すぐに追いつく。待っててくれ」
誰にも聞こえないよう小さな声でそうつぶやいたが相原には聞こえた様子で
「…長官、イスカンダルに、って意味ですよね?」
と念押しされてしまった
藤堂がバラを撒いてしばらくすると誰もが花のリボンを外して思い思いの言葉を添えて花を宇宙空間へ投げた。アナライザーもいろんな色を点滅させながらトルコキキョウを宇宙空間に投げた
相原はそれをカメラに収めるために数え切れないほどシャッターを押した後島にカメラを渡した。
「ヒマワリ渡してくる…島、そのスズランどうするんだ?」
そう言うとヒマワリはばらさずそのまま投げた。島はその瞬間を撮った。
「ユキさん写ってくれるかな?」
相原はその事の方が心配だった。
「スズラン、撮ってくれよ。」
島はそう言うとカメラを相原に渡しそっとスズランから手を離した。無重力なのでそのまま宇宙空間にスズランは浮いている。相原は宇宙空間しか映らないところを選んでそのスズランを数枚撮った。
「OKだよ。」
相原がそう言うと島はそのスズランに緑のリボンを結び次郎の手紙をあらかじめ飛行機に折っていたのを取り出して形を整えると一緒に宇宙空間に投げた
「古代、次郎からの手紙だ、読んでくれな…ユキ、今回もオマケが付いたぞ」
島の眼に涙が光っていた
乗組員たちは1時間ほどそこで思い思いの時間を過ごし自分の持ち場に着いた
ユキの席にはドライフラワーになった紫のバラと青いバラが添えられていた。
「YUKI、イスカンダルへ向け発進!」
藤堂の力強く言うと島が
「YUKI、発進!」
そう言ってエンジン音が高くなり軽いGを感じながらYUKIはヤマト消滅地点を出発した
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei