続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6
「やっぱりバランス大事だよな。でもさ、俺も古代も短気だったからなぁ…どうなる
事かと思ったけどなんだかんだ言って結果うまく行ってたような気がする。
他の戦艦に乗るのとは本当に大違いだったな。」(南部)
「そうか…俺らの出動はほとんどなかったからな…空母の戦闘指揮官の如何によって
俺らが出動する機会が増えるか減るか…だからな。そう思うとやっぱり古代は元が
戦闘機乗り、って事もあってかヤマトだと出動回数が多くて嬉しかったよ。出番が
たくさん!みたいな…まぁ一度飛び出すと絶対戻れる、って保証はどこにもないから
飛び出す時はそれなりの覚悟が必要だったけどな…。でもあの時古代が諦めないで
俺を呼んでくれた…本当に嬉しかったんだ、あの時…だからおれは古代のために何で
もやる、って決めたんだ。まさか…俺の知らない間に逝っちまうとは思わなかった
けどよ…」
山本はそう言うと力なく笑った
「戦闘中のピンと張りつめた空間と相原の通信のタイミングがバッチリ合うとすっげぇ
気持ちよくってさ。で、相原の通信の奥で聞こえるんだ、南部が“主砲発射”って…。
その瞬間光の束がすぐわきを通って敵の懐にぶっ刺さる…このタイミング、ヤマト
からじゃわからないだろう?でもヤマトの砲手と俺らと息があってる証拠で気持ち
よさは何にも言いかえられないぐらいだよ。」(山本)
「そうなんだ…うまく敵を倒した後艦載機が戻ってくるとすごい達成感があった。
“あぁ、うまく行ったんだ”ってな。」
南部はあうんの呼吸をお互いが感じてた事がすごい嬉しかった
「それにしても…緊張するしする事はないし、でどうすりゃいいんだ?」
山本は振り出しに戻った
「暇な時は遊ぶに限るな。第二艦橋でも行ってちょっと暇つぶししようか。」(南部)
「大丈夫か?」(山本)
「大丈夫だよ、だって前のトレースして進んでるんだろ?だったら特別何があるわけ
じゃないし…行こうぜ!」
南部はそう言うと立ち上がって第二艦橋へ向かって歩き出した
藤堂は艦長室にいて相原が撮った写真を転送してもらってゆっくり眺めていた
「ユキ…楽しそうだな。真田くん…君の造った戦艦は完璧だよ。この小さなボディに
随分な機能を付け加えてくれたじゃないか。島も満足そうだ…これなら宇宙の果て
まで行けそうだよ。しかし今回の旅は時間がゆっくり流れ過ぎている…南部と山本は
暇すぎてどこか遊びに行ってしまったようだ。前回の旅では考えられん事だろ?」
藤堂はそう言って笑った
「戦闘班の凄まじさは日報でよくわかってるつもりだが現場にいたらもっと凄かった
だろうと思う。君たちには本当に感謝してる…戦死した彼らにも…本当にありが
とう…」
藤堂はそう言うとユキだけでなく画面に映るクルー達、一人ひとりの顔を見つめた
と、その時ノックの音がした
「島です」
藤堂は艦長室の扉を開けた
Tweeen
「失礼します。(敬礼)先程地球防衛軍と連絡が取れました。星間通信機が正常に
動いてる証拠ですね。」(島)
「あぁ…そうだな。地球は大丈夫か?」(藤堂)
「はい、全て大丈夫だそうです。大統領にも連絡済みで満足そうだったとの事です。
地球の復興は順調なのでメドが付いたので今建造中の艦ができる頃には太陽系の各
基地の復興に力を入れたい、と言ってたそうです。」(島)
「そうか、では予定通りだな…」
藤堂は満足そうにそう言うと島に応接セットに座るよう指示したので島も“失礼します”と言いながら座った
「相原はいい動きをするな。島の言う通りだったよ。安心して仕事を任せられる。この
復興計画も相原が提案したんだ。提案、と言うか何気なく尋ねたらこうしたら順調に
進みそうですね、って具合に。細かな事は司令部で委員会たちあげて打ち合わせした
んだが…相原にも同席してもらってな…時々意見を聞いてたんだよ。それってがミラス
との戦いが終わって地上に戻る時真田くんとユキでシュミレーションしてた事と同じ
事を言ったんだ。その時相原はもちろんいないから驚いたよ。ヤマトの乗組員は
多分、どこへ行っても何をやっても成功するだろうな。」
藤堂の言葉に南部の跡継ぎの言葉が思い出された
「長官、だからって俺らを一般企業に出向させないでくださいね。」
島は冗談半分で言ったが
「こんな優秀なブレーンを外には出せんよ。」
藤堂は真顔で、でも最後は笑っていた。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 6 作家名:kei