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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7

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  「いいなぁ…イスカンダルは…。」(幕の内)

静かな海を眺めながら守は幕の内が作った稲荷を食べていた

  「そうか?何もないぞ?」(守)

二人の間には小皿がみっつ並べられていて一つずつ稲荷が乗っていた。

  「進、うまいか?幕さんの稲荷だ…真田も食べろよ。これ、俺のオフクロの味なんだ。
   森さんも食べて幕さんに習って進に食べさせてくれな。」

守は海に向かって話しかけていた

  「なぁふたりだけの生活で困ったこととかなかったのか?」(幕の内)
  「…ん?ここは科学が進んだ国だからな…食事も何もかも生活の事は全てロボットが
   してくれる。ガミラスもいないし…何一つ困った事はない。ただ…」(守)
  「ただ?」(幕の内)
  「こんなに時間がゆっくり流れる事がなかったから…どうしていいかわからない時が
   ある、くらいかな。もう、前のような生活はできないかもしれないな。」(守)
  「そうか…幸せだ、って事だよな。ゆっくり時間が流れるのが苦痛だと不幸かもしれ
   ないけどそうやって二人でいる事が自然、って事なんだろうな。よかったよ…安心
   した。進くんも安心しただろ。なんだかんだ言って大丈夫かな、ってイスカンダル
   の帰りに話してたんだ。平和に慣れていないから、って。まぁそれは進くんも同じ
   かもしれないけどな。」

幕の内はそう言って稲荷を一つ食べた

  「進くん、なんて言ってるけど…艦長、って呼ばなきゃなんだよな。」

幕の内はそうって豪快に笑った

  「でもお前の中ではやっぱり“進くん”なんだろ?だったらそれでいいよ。」

守がそう言うと

  「最初に連れてきたあの小さくて細い進くんが忘れられないんだ。いつも勉強してて…
   知らない事を教えるのはよかったけど応用聞かれるとちょっとしどろもどろだった
   こともあったかな。」

幕の内は“今だから言える”と言って笑った

  「真田も驚いてたよ。まさか合格すると思ってなかったからな。俺が勉強教えてるのは
   お前を通じて知ってたから調理師辞めて先生になれ、なんて言われたよ。」(幕の内)
  「行けばよかったじゃないか。似合ってそうだな」(守)
  「俺はさ、飛びたかったの。進くんには話した事があるんだけどいずれ宇宙食じゃな
   くて戦艦の中にもコロニーみたいに野菜が出来るようになった時戦艦でも地球と同
   じものが食べられるようになるかもしれない、って。その時俺みたいのが必要に
   なるだろ?ってね。まさか自分がヤマトに乗るようになるとは思わなか驚いたけど
   仕事を聞いた時正しく自分の理想だ、って思ったのさ。実際地球と同じものを作るっ
   て難しい事だったけど…でも同じ空間、同じメンツ…じゃ全てにおいてマンネリだ
   ろ?だからさ、食事くらいは…って。森さんと乗り込んだ時初対面だったんだ。最
   初はキレイな人だなぁって思ったよ。そしてこの艦生活を支える基盤のこの部署で
   どれだけ働いてくれるか…って思ったよ。どこかのお嬢さんだと思ってたからね…。
   後から話を聞いたらすごい人、ってわかったけど初対面じゃわからないだろ?でも
   さ、俺と同じで宇宙で地球と同じ食を、って同じ思いが合って…それで意気投合し
   たんだ。時々意見はぶつかったけどね。」

幕の内は思い出したようにニカっと笑った

  「いつしか進くんがよく農場に顔を出してさ…森さんと仲良く話してるのを見かけ
   たよ。手を真っ黒にして土いじりして…二人がうまく行くように陰ながら応援した
   ものさ。後…三日だったからな。式に参加するために休暇をもらってたんだよ。
   俺も…まさかその足でヤマトに乗り込む準備をするとは思っても見なかったけどさ。
   辛い戦いだったけど…行ってよかったって思ってる。」

守はじっと海を見ていた

  「サーシアちゃん、かわいいな。でも守、これから先どうするんだ?」

幕の内はこのまま誰ひとり友達も出来ない環境のサーシアの心配をした

  「あぁ…スターシアの妊娠が分かった時嬉しかったがその子が成長した時の事を心配
   したんだ。ちゃんと生まれてきてくれるかどうか…そっちの方が心配だったから。
   でも今は…これからの事を考えなくてはいけない、って思ってる。」(守)
  「そうか…あ、ここに来る前に橋本とちょっと会ったんだが…子供も随分大きくなって
   な…もう小学校に通ってるらしい。(写真を見せる)ヤマトのファンなんだと。
   橋本は複雑だ、って言ってたな。自分の育てた子供たちが戦場に赴く様をずっと見て
   きて…何もできない自分が歯がゆいと言ってたよ。」