続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7
「スターシアには話してないがいずれサーシアには地球を見せてやりたいと思っている。
YUKIがこなければサーシアは私を地球人と知る事もなかった。ただそのままだと
スターシアと同じ運命を辿ることになる…スターシアはここが故郷だがサーシアには
地球と言うもう一つの故郷ができた。彼女には選択する事が出来るんだよな。その
権利を親が奪ってはいけないよな…。」
守はそう言って海を眺めた
YUKIは二週間ほどイスカンダルに滞在し地球に戻る準備を始めた
クルーがYUKIの甲板に整列し守とスターシアとサーシアもいた。
「守…長い間三人の邪魔をして悪かったな。そろそろ、と思っている。イスカンダルの更なる
技術をもらった…今後の地球の防衛に参考にさせてもらうよ。」
藤堂はそう言うとがっちり握手をした。
「いえ…これからいつでも通信できると思うとホッとします。イスカンダルで協力できる
事があればいつでも声をかけてください。」
守はスターシアを見てそう言うとにっこりほほ笑んだ
「…スターシアさん、本当にありがとう。あなたのお陰で地球は息を吹き返しました。
いつかその御恩をお返しできるすばらしい星になりますので…いつか是非ご旅行で地球に
いらしてください。」(藤堂)
「ありがとうございます。」
スターシアは優雅にお辞儀をした。少し後ろに立っているサーシアは複雑な心境だった
(YUKIが行ってしまう…次いつ来るのかわからない…一緒に行きたい…でも…)
サーシアは母がどう思うかが心配だった
「…長官、出航のお時間です。」
相原が藤堂の後ろで伝えると
「全員配置に付け、YUKI、発進準備にかかれ!」
全員が敬礼すると三人は藤堂とメインクルーにタラップに向かった。
「長官、航海の無事をお祈りしています。」(守)
「ありがとう、守もスターシアさんと仲良くな。また…来るよ。その時はちゃんと連絡
してからくるから…よろしくな。」(藤堂)
「えぇ…お待ちしております。」(スターシア)
「………」
サーシアは大人の会話をただ見つめているだけだった。そして視界がぼやけてきた
(…私、泣いてるの?)
その時サーシアの脳裏にユキが現れた
〈サーシアちゃん、行きたい、って言うなら今よ。あなたのお母様も今のあなたと
同じ…勇気を持って…あなたなら地球でしっかりやっていけるわ。私が応援する
から…〉
〈〈ユキさん?〉〉
〈ほら…自分の人生は自分で切り開くのよ。このままイスカンダルにいたらあなたは
誰とも幸せになることなく終わってしまう…次のYUKIに乗り込んだとしても
その時はもう学校に通ったりする年頃じゃなくなってるかもしれないわ。今なら
地球の文化も学校というところで学ぶ事が出来る…イスカンダルに残る方が苦労は
少ないと思う。でもそれじゃもったいないわ。勇気を出して…〉
サーシアは我に返った。ユキさんが応援してくれるなら…
「…お父様、私…地球を見たい。地球へ行きたい。」
サーシアは小さな声ながらも真剣な目で訴えた
「サーシア…」(守)
「地球へ行って…お父様の故郷を見たい。お願い、私を…」
サーシアがそう言いかけたところでスターシアがそっとサーシアを抱きしめた
「あなたがそう言うのを待っていました。私から“行きなさい”とは言えなくて…守…
いいわよね?(守がうなずく)あなたの名前はイスカンダルと地球の架け橋になった
叔母から頂いた大切な名前…今度はあなたが生きる架け橋となりなさい。でも
YUKIがイスカンダルに来る時は必ず乗って私達に元気な顔を見せて…」
スターシアは涙をこらえてそう言うとサーシアを守に向けた
「サーシア…よく言ってくれたね。ありがとう…地球はたくさん人がいていろんな考
えの人がいる。きっといい勉強になるはずだ。」
守もそう言ってサーシアを抱きしめた
「長官…サーシアをお願いします。」
守はそっとサーシアを離すと藤堂に向かって頭を下げた
「いいのか?守…」(藤堂)
「えぇ…この子にはこの世界は狭すぎます。もっと大きなところで羽ばたいてほしいん
です。」
守はすっきりした顔をしていた。
(サーシアちゃんが地球へ…)
島は4人の会話をぼんやり聞いていた。メインクルーも突然の展開に驚いていた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7 作家名:kei