続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7
「こんな笑顔の進なんて何年も見ていないな…。」(守)
「幸せそう…みなさんも…。」(スターシア)
ひとり意味が分からず画面を見てるサーシアがいたが
「この人は?」
そう言って進を指差した
「ん?父さんの弟だ。サーシアの叔父さんになるのか。その横で笑ってるきれいな人が
いるだろう?その人が叔父さんのお嫁さんになる人…いや、お嫁さんだよ。きれいな
ドレスを着ているだろう?父さんの住んでた地球では好きな人と結ばれる時こうやって
きれいなドレスや着物を着てみんなにお祝いしてもらうんだ。」
守がそう言うと
「じゃぁイスカンダルじゃお祝いしてくれないの?」
子供の素朴な疑問だった。この広い世界に親子3人しかいない…
「そうだな…イスカンダルじゃ無理かな。」
守はそう答えたがスターシアは複雑そうな表情をしていた。
「きれいな人ね。優しそうだわ。」
サーシアは興味津々で写真を見ていた。
「きれいなお花ね。イスカンダルにも似てるお花はあるけど全然違うわ。」
ユキが抱えてる花束が大きくてうらやましく見えた
しばらく4人で話した後スターシアは
「疲れが取れたらご自由に散策なさってください。地震は収まっています。最近危険な
ところはほとんどありません。地殻変動も落ち着いたようです。でも暗くなったら
海辺は近付かない方がいいでしょう。急激な地殻変動が絶対ないとは言い切れないの
で…暗いと安全に避難できないかもしれませんから…」
スターシアがそう言うと
「わかりました。私から全員に伝えます。」
島がそう言うと
「島くん、長官と話せるかな?」
そう言って来たので“ちょっと連絡取ります”と言って通信機を取り出した
「島です、お疲れさまです。今どちらに?」
<部屋にいるが?>(藤堂)
「守さんがお話したい事がる、と」(島)
<私も話がしたいと思っていたのだよ。>(藤堂)
その言葉を聞くと守が島の後ろに立って
「長官、おはようございます。お部屋番号頂ければお伺いします」
そう言うと
<おはよう、1号室にいる。いつでもいい、待っているよ>
藤堂がそう言うと通信は切れた
「ありがとう。スターシア、ちょっと行ってくる。」
そう言うと守は島と一緒に部屋を出た
「守…」(藤堂)
「長官…昨日はすみませんでした。」(守)
二人はそう言うとがっしりと握手をした
「沖田さんは?」(守)
「残念ながら宇宙放射線病が悪化して…地球の姿を見て…息を引き取った」(藤堂)
「そうでしたか…イスカンダルに着いた時すでに調子が悪そうで…」(守)
「日報を見たよ。守が生きてるとわかってそれは嬉しそうだった。」(藤堂)
「そうですか…私じゃなくて救出されたのが息子さんだったらもっとよかっただろうと
思うと…」(守)
「確かにそうかもしれんが…沖田は自分の部下は自分の子供だ、といつも言っていた。
だからここにいるクルー達…守もそうだが私は沖田の子供たち、と思っている。
沖田イズムを引き継いている数少ない戦士達。誰ひとり失いたくなかったんだよ。」(藤堂)
藤堂がそう言うと
「長官、弟がお世話になりました。」
守は改めて頭を下げた
「保護者の私もほとんど進の面倒見れませんでした。あいつがうまく立ち回れなかっ
たのは私がそばにいてやれなかったからだと思っています。すみませんでした」
守は頭を下げたままそう言った
「守…頭をあげてくれ。古代は…君の弟は何をしてもずば抜けていた。ただヤマトを
降りた後はそれにカリスマ性が加わっていた。謎のメッセージを古代が持ち帰った
時…古代の直感を信じたんだが立場上100%付いてやることができなかった。
いまだにそれが心残りでしょうがない。結婚式のために取った休暇も取り上げるかの
ように任務を入れられてしまった…ヤマトのクルーは二人の結婚式に合わせて休暇を
取っていたのでドッグに集結するのに時間はかからなかった…ヤマトはあっという
間に準備を済ませて飛び立っていった…朝日が眩しくて…それはきれいな出航だった
まさかそれが永遠の別れになるとは思っていなかった…君から全てを奪ってしまった。」
藤堂が再び頭を下げる
「長官…もう、いいんです。進は森さんと幸せなんですから。やっと…本当の進に戻っ
てると思うんです。」
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7 作家名:kei