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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7

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  「だけど、どうして進くんばかり辛い思いをしなくてはいけないんだろう、って何度も
   思った。救命艇からテレサの声を聞きながら涙しか出てこなかった。自分の無力さを
   実感したんだ。
   お前の弟はすごい弟だった…俺はそばにいたのに何もできなかった…すまなかった」

幕の内はそう言うと頭を下げた

  「幕さん、あの稲荷、食べたいな…」

守がポロっと言った

  「あの時進と二人で食べた稲荷寿司…本当においしかったんだが二人とも泣きながら
   食べて味がわかんなくなっちゃったんだよ。帰るまでに一度でいい…」

守はそう言って幕の内の顔を見た

  「…バカだな、そんなのお安い御用、だよ。」

そう言って幕の内も守も笑った












サーシアは一瞬でクルーのアイドル的存在になった。スターシアと同じ輝くような金髪と長い手足がモデルのようでスターシアと比べると幼い分、幾分目がくりっとしてかわいらしかった。

  「え~っと…」

サーシアは島の前に立っていた

  「島、だよ。サーシアちゃん」
  「ごめんなさい、たくさん人がいて名前が覚えきれないわ。」

にこやかに笑うその感じもユキによく似ていた

  「…そんなに似てる?」

サーシアはそう言って島の顔を覗き込んだ

  「うん、確かによく似てるけど…ユキはユキ。サーシアちゃんはサーシアちゃんだから
   それよりジュース飲む?」

島がそう言って立とうとしたが

  「ううん、いいの。もうお腹いっぱい。ねぇ…叔父さまの事教えて?私お父様に
   弟がいたなんて知らなかったの。…と言うよりお父様が地球人って初めて知ったわ。
   私、そうなると何人なんだろうって思っちゃって…」

真剣に悩むその姿を見て島は笑ってしまった

  「私、真剣に悩んでるのに!」

サーシアが少し怒ったように言ったが島は我関せず、で

  「サーシアちゃんはサーシアちゃんでいいんじゃないか?イスカンダルの王家の血を
   継ぐ者、でいいじゃないか。難しいか?」

島がそう言って頭に手を乗せた

  「島さん、私を子ども扱いする。」

サーシアがすこし拗ねた

  「してないよ、ただ…」(島)
  「ただ?」(サーシア)
  「自分を犠牲にしないでほしいんだ。君の叔父さんもおばさんになる予定だったユキも
   自ら幸せになる権利を捨てちゃったようなもんだからな。」(島)
  「権利?」(サーシア)
  「そう、君たちは幸せになっていいんだよ、って…それなのに…」(島)
  「じゃぁ私にも島さんにも幸せになる権利ってあるの?」(サーシア)
  「そうだよ、君のお父さんとお母さんも。その権利を使ったから…両親共とても幸せ
   そうじゃないか。」(島)
  「そうね。とっても大切な権利なのね?」(サーシア)

島はうなずいた。

  「ココにいる誰もがその権利を持っているんだ…」

自分に言い聞かせてる、と島は思った

  「島、アイドルを独り占めしちゃダメじゃないか!」

相原と太田がやってきた。少し顔が赤い

  「飲み過ぎてないか?」(島)
  「ん?全然だよ。それよりこれ見てくれよ。さっき撮ったんだ」(相原)

相原はそう言うとカメラを島に見せた

  「…これは…」

島は驚いて画面を見た。マザータウンの最上階から下の海を夜景を含めて撮影した一枚に海に浮かぶヤマトがはっきり写っていた。

  「拡大します」

相原がそう言って拡大すると甲板でパーティーしていた。

  「一緒にここに来ればいいのにな」

島がそう言うと

  「さっきまで…そこにいました。そこに座って楽しそうにみなさまを眺めていました。」

サーシアの言葉に誰もが耳を疑った

  「私話しかけそうになりました。余りにも自然にそこにいたから…」(サーシア)

島はアナライザーを探したがすでに酔いつぶれていた

  「肝心な時に…サーシアちゃんは彼らと話す事が出来そうかい?」(島)
  「えぇ…多分…向こうが警戒してこなければの話ですけど…」(サーシア)
  「じゃぁ聞いてくれないかな?イスカンダルについてこれから先どこへ行くんだ、と
   一緒に地球へ帰ろう、って。」(島)
  「わかりました、できるかどうか分らないけど…努力してみます。」(サーシア)
  「今じゃなくていいよ、できれば叔父さんに聞いてくれるかな?」(島)
  「わかったわ。」

サーシアはにっこり笑ってそう言うとスターシアのところへ行ってしまった