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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 7

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山本は黙って聞いていた

  「サーシアちゃんがさ、“俺の大切なものなんですか?”って聞いてきたんだ。どうも
   古代がそう聞いてくれ、って言ったみたいで…で、考えたんだ。俺は自分の事しか
   考えてなかったのかも知れない、って。古代は自分のためじゃなくて地球のために
   ヤマトに残った。古代にとって大切なものはユキでユキが全てだった。じゃぁ俺に
   何があるんだろうって思ったら…何もなかったんだ。俺の守りたいものって何だろう
   って…」

島がそう言って言葉を失いかけた時

  「俺達は家族を守ってきたんだよ。家族の住む地球を守ったんだ。だけど家族って
   呼べる人達は地球にいるひとだけじゃなくて…こうしてヤマトのクルー達も家族だと
   思ってる。島だってそう思うだろ?ヤマトに乗り込むとすっげぇホッとしなかったか?
   俺ら飛んで戻る時まるで家に帰るような感じだったから…。古代は家族を守りたかっ
   たんじゃないか?島や南部…家族を守るために…そしてユキと再会するためにひとり
   ヤマトと一緒に…」

山本は涙をこらえていた

  「大切なものを…一生をかけて守って行くものをこれから一緒に探そう。」

そう言って島の肩をたたくと“邪魔したな”と言って部屋を出て行った。






  「お父様」

サーシアが守に声をかけた

  「叔父さまがねお父様が元気にしてる姿見てホッとしたって。自分が叔父になるなんて
   思ってもみなかったって。」

守はサーシアの言葉を黙って聞いていた

  「叔父さまたちこれからどうするの?って聞いたんだけど答えてくれなかったわ。」

少し不服そうなサーシア

  「そうか…」

守の視線の先にはマザータウンの海がある

  「お父様?」

心ここにあらずの守の顔を覗き込むサーシアに

  「サーシア、少しお父様をお一人にしてあげて」

スターシアが声をかけた

  「お母様…」

サーシアが振り返るとスターシアは手招きして隣の部屋に入った

  「お父様は今自分の弟が亡くなってしまったと言う悲しみと大切な友人が亡くなった
   事で頭がいっぱいなの。サーシアの事を忘れてるわけじゃないから…少しひとりに
   してあげて。」

スターシアはそう言いながらサーシアをそっと抱きしめた

  「お母様もたくさんの人を見送ってきたわ…。それはそれは悲しいものよ。気付いた
   らこの星に残ってるのは私と妹だけだった…墓標だけが増えて行くこの星…
   どちらが先に死んでも後を追う事はしないと…誓ったわ。ガミラスが地球を侵略
   し始めて…私は大切な妹を地球へ派遣した…無事地球へたどり着けるか…たどり着い
   ても地球の人たちは私達を信じてくれるのか…信じてくれても地球の人とたちが
   ここまで来れる保証もない…ガミラスだってきっと…」

スターシアは一度言葉に詰まった。隣の星のデスラーも侵略者だったがイスカンダルに手を出す事はなかった。まして地球がガミラスを滅ぼすなんて思ってもみなかった事だった。スターシアはサーシアの眼を見て

  「この星に近付いてくる戦艦のをだまって見逃すことはしないはず…無事にここへ
   来れる保証なんて何もなかったの…。でもお父様の星の人はすごかったわ。
   科学力で見たら絶対敵わないガミラスに勝利したんですもの…そして地球は救われた
   のよ。私と妹は少しだけ手伝いをしただけで地球の人たちは与えられたものだけ
   で満足したのではなく私たちの科学力を基に工夫を重ねて幾つもの戦いに勝利したの
   戦いは良くないものだけど自分達を守るために…仕方ない時があるのよ。」

スターシアはサーシアにそう諭させた

  「私は…」

サーシアは不安そうな顔をした

  「いいのよ…あなたにはもう一つ故郷がある…遥かかなたの地球だけど…私のように
   ここだけに縛られなくていい。」

スターシアはサーシアが地球という星に気持ちが飛んでいる事に気付いた。