続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8
「おぼっちゃまはホント世話焼きだなぁ…で、南部、どうするつもりだ?」
携帯を切った南部に相原は声を掛けた
「ん?きっと忙しかっただろうからゆっくりできるところを、とも思ったんだけど
おいしい食べ物たくさんあるところも楽しいかも、って思って…ナゴヤと
オオサカで悩んでるんだよな。」
以前ナゴヤはクルーで行ったところだ。行こうとして行ったわけではなかったが…
「小さな子もいるし…近場でおいしいものが食べられるナゴヤがいいかもな。
大昔水族館があったところに新しい水族館できたんだろ?ちょうどいいじゃ
ないか。」
山本が言うと
「山本、よく知ってるな。」(太田)
「太田は食べ物しか興味ないんだろ?」(山本)
「んなことないよ!」
太田が山本がじゃれ始めた
「平和だな…」
二人がじゃれてる様子を見て島が相原につぶやいた
「うん。古代とユキさんはこの姿見て笑ってるかな…」(相原)
「きっと…笑ってるさ。ふたりして…」(島)
クルーはそれからエアカーに乗り英雄の丘へ向かった
「お世話になります。」(サーシア)
「お待ちしていたわ。初めての航海だったんでしょう?お疲れ様。さぁ上がって
甘いものはお好き?」
藤堂はそのままサーシアとアナライザーを連れて自宅へ戻っていた
「はい…」
サーシアは大人しく通されたリビングのソファーに進められるがままに座った。藤堂夫人はそのままキッチンでお茶を入れ始めた。藤堂もソファーに座るとサーシアに声を掛けた
「あれが私の妻だ。とても世話好きでね…話し相手にはいいと思うよ。」
藤堂の妻はとても柔らかい空気を醸し出している
「とてもお優しそうな方ですね」(サーシア)
「あぁ…そうだな…私には厳しいが…」(藤堂)
そこへパタパタと藤堂夫人がお茶を運んできた
「お待たせ…お紅茶でいいかしら?いい茶っぱが手に入って…とてもおいしいの。
昨日バラのジャムも作ったのよ。よかったら食べてみて。」
そう言いながら手際よくトレンチからお茶を下ろすと透明の小皿に盛り付けたジャムをテーブルに置いた。ジャムの上には本物のバラが乗せてあった
「いい香り…」
サーシアは今までにかいだことのないいい香りに感動してると
「食べ方がわからないわよね。ジャムを付いてるスプーンですくって…そう…で、
紅茶に入れて…ほら、いい香りがもっとしてくるでしょう?熱いから気を付けて
飲んでね。ヤケドしちゃうわ。」
サーシアは夫人の真似をしながら紅茶を一口飲んだ
「…おいしい。」(サーシア)
「まぁ、お口に合ってよかったわ。さぁあなたもどう?あなたは普通のお砂糖の
方がお好みなのよね?お砂糖も用意してるから遠慮なさらずに…」
藤堂はじゃぁ…と言いながら砂糖を入れて飲んだ
「あぁ…おいしい。すまんな、お土産と言うものがなくて…だな…」(藤堂)
「お土産なんていりませんよ。まして今回はこんな素敵なお嬢様を連れてきて
くれて…うれしいわ。どうぞよろしくね。短い間かもしれないけれど仲良くしま
しょう。」
そう言って夫人はサーシアの手を握ると
「うちには娘がいなくって…娘がほしかったのよ。本当にうれしいわ…呼び方
困っちゃうわね…そうね、もうあなたぐらいの孫がいるからおばあちゃんで
いいわ。」(夫人)
「おばあちゃん?」(サーシア)
「お父さんとお母さんのそのお母さん、って事だよ。」(藤堂)
「はい…では、おばあさま…」(サーシア)
「さま、はいいわ。おばあちゃん、で。それが自然だわ。」(夫人)
「あ、はい。では…おばあ…ちゃん?」(サーシア)
「はい?なんでしょう?…ふふふ、用事があったらそう呼んでね。あぁうれしい!
ご飯作るのも楽しくなりそうだわ。」
夫人は早速今日の晩御飯の献立をあれこれ考え始めていた
「まぁまぁ、今日はちょっと外食でもしよう。地球の様子を少し見るつもりで…と
思ったんだが?」(藤堂)
「そう?でも長い航海でお疲れじゃないかしら?」(夫人)
「まぁ航海自体は長かったけど中で何するわけじゃなかったから結構暇だったんだ。
(携帯を取り出して)◎○タクシーですか?いつもお世話になります。藤堂です。
…えぇ、一台お願いできますか?…ではお待ちしてますのでよろしくお願いしま
す。急いでないのでゆっくりで大丈夫ですから…(携帯を閉じて)…じゃぁ
出かける支度しようか。昌子の服を出してやってくれるか?」
藤堂は紅茶を飲み干すとそう言ってアナライザーと一緒にリビングを出て行った。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8 作家名:kei