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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8

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サーシアが地球に来て二週間が過ぎていた

その間、毎日幕の内が藤堂宅を訪れてサーシアの勉強を見て生活の事は藤堂の妻が見ていた。それ以外の時はアナライザーが付いていた。

  「じゃぁサーシャちゃん、今日のお勉強はここまで。」(幕の内)
  「はい、ありがとうございました。」(サーシア)

時間のころ合いを見計らって夫人がお茶を運んでくる

  「お疲れさま」(夫人)
  「おばあちゃん、ありがとう。」(サーシア)
  「いつもすみません。」(幕の内)
  「どうですか?お勉強は進んでます?」(夫人)
  「えぇ、飲み込みが早くていいですよ。この子の父親は全くでしたがこの子の叔父は
   飲み込みが早かったので恐らく叔父に似たんでしょうね。教えがいがありますよ。」

幕の内は嬉しそうに言った。

  「そう…よかったわ。」

夫人は順調であればそれだけ早くサーシアとの別れが近付いている事を知っているので成長は楽しみだがそれを素直に喜べない複雑な心境だった

  「今日は後で先生が来る、って聞いていますが?」(幕の内)
  「えぇ、一週おきに…で、地球いて不都合ないかヒアリングする日です。」

夫人は複雑な心境を見せずにっこり笑った

  「地球の環境も合ってそうだし…ちょっと人が多くてびっくりしてたけど…もう
   その辺りも大丈夫でしょう。時々お店に行ってお洋服買ったりして楽しんでるわ。
   女の子ってほんと楽しいわね。」(夫人)
  「でもお買い物するとお金を使うから…」(サーシア)
 
もちろんイスカンダルに“お金”という物はない。すべて服も食事も全て機械がやってくれる。

  「人の手を介して“やってくれたもの”“してくれたもの”に報酬が必要って知らない
   んですもの、それはしょうがないわ。それにね、子供は素直に“ありがとう”って
   言えばいい、って。」

夫人はそう言って笑いながら幕の内を見た

  「でもね、お金が全てじゃない…それを知ってほしいの。難しいけど…」

幕の内はうん、うんと頷いていた。

  「幕ノ内サン、ソロソロ戻ラナイト仕込ミ、間ニ合イマセンヨ」

幕の内はアナライザーに言われて時間を確認すると

  「あぁ、もうそんな時間か。じゃぁ戻るかな。サーシャちゃん、また明日ね。宿題
   忘れないように!」

そう言いながら幕の内は藤堂家を後にした

  「サーシャちゃん、毎日お勉強大変ね。疲れない?」(夫人)
  「大丈夫よ…。たくさん知りたい事があってもっと時間がほしいくらい。」

サーシアの大きな瞳が満足げに笑う。

  「そう…薩摩先生がお越しになるって…」

ちょうどそこでインターフォンが鳴った。薩摩は佐渡の親友ではやり腕は天下逸品と評判の先生だった

  〈薩摩ですが…〉

夫人は一度サーシアの顔を見てにっこり笑ってから席を立つと薩摩を迎えに玄関に向かった。












薩摩はアナライザーを呼ぶとこの一週間で何か変わった事はないかヒアリングを始めた。アナライザーはサーシアの体の成長だけでなく体温や食欲など全ての健康管理も任されていた。

  「…この二週間で身長3センチ…か。YUKIに乗り込んでる時に比べたら少し
   背が伸びるのが緩やかになってきたかな…地球の重力とかも関係してる
   のかもしれんな。」

このすさまじい成長が止まらないと学校に送り出すことはできない。昨日より今日、今日より明日とグングン成長していたサーシアの体が落ち着いてから訓練学校に編入させようということになっていた。サーシアは高校生ぐらいに見えていた

  「まぁスターシアさんと守くんも背が高いと聞いてますし…」

薩摩はそう言うと荷物をまとめ藤堂宅を後にした




  「あらあら、まだ背が伸びるのね…うらやましいわ。手も足も長くて…」

夫人は薩摩に出したお茶を片しサーシアの新しいお茶を渡しながらにっこりサーシアの顔を見て笑ったがサーシアは複雑な心境だった

  「私…おばあちゃんとずっと一緒にいられないの?」(サーシア)
  「…えぇ…でも私はあなたのおばあちゃん。いつでも遊びに来ていいのよ。ここを
   実家と思っていいのよ。もうすぐ新しいご両親ができるけど…いいじゃない?
   イスカンダルのご両親に私でしょ?それにもうひと組ご両親ができるなんて…
   家族は多いほうが楽しいのよ。」

夫人はサーシアの不安を取り除きたかった

  「はい…」






水面下ではユキの両親に打診が始まっていた












作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 8 作家名:kei