続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9
「どうでしたか?」
相原がエアカーの助手席から藤堂に声を掛けた
「あぁ、顔合わせまではなんとか…な。」
藤堂はそう言ってほっとしたように島の顔を見た
「えぇ、顔を見たら多分他人の気がしないんじゃないですか?」(島)
「しかし余りにも似すぎて辛くなったりしないかが心配だよ。」(藤堂)
「私もそれを心配しましたが…恐らく…大丈夫だと思います。」
島はあのサーシアを見て断る事は絶対ない、と不思議と感じていた
その週の日曜日、サーシアが夫人と買い物をしているところを島がユキの両親に付き添ってその買い物の様子を少し離れた所から見ていた
「…ユキ?」(母)
「そっくりだ…なんて似ているんだ!」(父)
ユキの母親は今にも飛び出していきそうな感じだったのを父親が制した
「島くん…」
父親はサーシアを見たまま島を呼んだ
「よく似てらっしゃいますよね…実は彼女の叔母…イスカンダルからやってきて
火星に着陸に失敗して亡くなったイスカンダルの王女のスターシアさんの妹に
ユキさんがそっくりだったんです。イスカンダルの女王がユキさんを自分の妹
と間違うぐらいに…その妹とサーシアがとてもよく似てるんです…」
島がそう告げると
「まるで…ユキが生き返ったみたいだ…島くん、一度話を…彼女とさせてくれない
かな…。母さん、それで…いいか?」
父親が確認するように母親をみると大粒の涙がポロポロ流れ落ちていた
「あなた…ユキが…戻ってきたみたい。うれしいわ」(母)
父親はうなずきながら
「お前が言ったように神様がやり直すチャンスをくれたんだ。よかったな…
島くん、前向きに話を進めてくれないかな」
父親は島の顔を見ながら嬉しそうにそう言った。
「長官(敬礼しながら)先ほど森さんご夫婦をご自宅までお送りしました。」
島は藤堂のエアカーに相原と一緒に乗っていた。藤堂は自宅で待機していた
〈お疲れさん、さっき二人とも帰って来たよ。どうだった…と聞くまでもなさそうだ。〉
藤堂が島の顔を見ながら言うと島はうなずいて
「はい、前向きに…とおっしゃっておりました。」
と告げると
〈そうか…寂しくなるが……薩摩くんも普通の生活をしても問題なかろうとの事
だし…〉
藤堂が相原を見て
〈スケジュールは任せるから島とユキの両親と…頼むな。〉
そう言って通信機は切れた
「長官も寂しそうだったな。イスカンダルからの帰りはちょっと楽しそうだったし…」
相原が島に言うと
「そうだよな…奥様も今日、楽しそうだったよ。」
二人は無言で軍に戻って行った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9 作家名:kei