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続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9

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  「サーシア、ちょっといいかね?」

藤堂が庭にいたサーシアを呼んだ

  「はい」

なんとなく察しているサーシアは少し困った顔をしていた。後ろには心配そうに夫人が付いている

  「昨日、薩摩先生がいらしただろう?今日、私のところへ来てサーシアの体は
   地球の環境に合っている、と返事をもらった。まだ背が伸びるのが止まって
   いない、との事だがYUKIに乗ってる時より緩やかになり始めたからそろそろ
   学校、と言うところ…みんなで勉強するところに通っても大丈夫だろうという
   事になった。そこで以前から打診してる地球の養父母…まぁ地球での親御さん
   なんだが一度話をしたい、と言う事になった。急な話だと思うかもしれないが
   あさって、午後1時に迎えに来るから…」

藤堂の言葉に一瞬息を詰まらせたが

  「…はい。分かりました。」

サーシアは素直に頷くと藤堂が

  「すまんな、ずっと面倒見てやりたいのだが…ここでは地球の普通の家庭と違う。
   しかし私と妻はキミの祖父母…おじいちゃんとおばあちゃん、だ。いつでも遊び
   にきていいんだよ。ちょうど同じくらいの孫がいるから地球の環境に慣れたら
   一緒に出かけたりするのもいい。おばあちゃんに甘えたくなったら…待ってるか
   らいつでもおいで。」

そう言って緊張してるのか冷たい手を取って

  「今は運命に流されてるかもしれないがたくさん勉強していろんな人と出会って
   自分の足でしっかり立てる女性にならないといけない。そのために今は大変
   かもしれないが頑張りなさい。戻る場所があるんだ。怖がらず進みなさい。」

藤堂はそっとサーシアを抱きしめた。その姿を夫人は見て泣いている。藤堂がサーシアから離れると夫人が今度サーシアを抱きしめて

  「大丈夫、あなたは誰からも愛されるわ。」

そう言っていつの間にか流れていたサーシアの涙を拭いてあげるのだった。










サーシアと森夫妻の顔合わせは極秘で南部ホテルの一室を借りて行われた。

  「失礼します。」

島がユキの両親を連れて部屋に入ってきた。藤堂が相原と一緒にドアの所まで出迎えた

  「お待ちしておりました。」

藤堂がそう声をかけると

  「お待たせしてすみません。」

ユキの両親は緊張した面持ちだった

  「…サーシアちゃんがお待ちです。どうぞ中へ…」

中に入るとサーシアが南部と並んで待っていた。サーシアは緊張してるのかユキの両親を見て一瞬息をのんだ。隣にいる南部が小さな声で

  “大丈夫、いい人だから。”

と言ってサーシアを落ち着かせた


  「初めまして」

ユキの父親がにっこり笑って声をかけた。

  「は、初めまして…サーシアです。」

緊張しながらサーシアが挨拶をする

  「森です。…こちら(ユキの母を見て)は家内…私の奥さんです。」

そう紹介するとユキの母は

  「かわいらしいお嬢さんね。」

と言って笑って“こんにちは”と挨拶をした。ここで相原と南部は“隣で待機します”と言って退出し部屋に藤堂と島、サーシアと森夫妻が残った。

  「では改めて…こちらイスカンダルから来たサーシアです。サーシア、こちらユキさんの
   ご両親で森さんご夫妻。地球でサーシアのお父さんとお母さんになってもらう予定の
   方です。」

島がもう一度説明して

  「森夫妻とサーシアは今後古代が建てた三浦の自宅で一年生活してもらいます。森夫妻は
   今後その自宅でずっと生活していただくことになると思います。もしサーシアが
   この後訓練学校に入った後実家に帰る時横浜に戻ると近所から“誰?”と思われて
   しまうと思うので…それで依存はありませんか?」(島)
  「はい…しかしその家賃はどうなりますか?」(森・父)
  「その部分ですが土地はもともと古代の実家の跡地と言う事とすでに古代が支払いを
   完了してる事から家賃は発生しません。」(島)
  「駅からも近いと伺っておりますがそんな立地条件のいいところに無料で住ませて
   もらっていいのでしょうか?」(森・父)
  「いえ、むしろ誰かが住まないとせっかく古代が建てた家が傷んでしまいます。それに
   私も聞いていたのですが結婚したら別荘代わりにご両親にも使ってほしいと古代が
   言っていました。森さんが使ってくれたらアイツは喜ぶと思います。」(島)
  「進くんがそんなことを?」(森・母)
  「はい、古代は自分に両親がいないからその分もユキの両親を大事にしたいと常に言って
   いた、とユキがそれは嬉しそうに話していました。」(島)


作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9 作家名:kei