続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9
「そう…本当にいい人だったのね…」
ユキの母は必死に涙をこらえていた
「後でマイクロを用意していますでみんなで行きましょう。」(島)
「あ、後、中学に入ると言う事ですが戸籍とかどうなるんでしょう?」(父)
「はい、これからですが森さんの戸籍に実子として組み込むことにしています。養女で
とも思ったのですが何か漏れがあった場合そこからサーシアがイスカンダルの王女の
娘、と分って犯罪に巻き込まれるかもしれません。ですので有事に巻き込まれない
よう大事を取って…と思っていますが…」(藤堂)
「…異存はありません。では中学の編入は…」(父)
「ちょうど一か月後から新年度となりますのでそこで、と思っています。森さん夫妻は
お引越しなど準備できますか?」(藤堂)
「私も転勤が多かったので引っ越しの準備はすぐ大丈夫だと…(妻の顔を見て)大丈
夫です…が…そうですね、10日ほどあれば…」(父)
「何か心配なことでも?」(藤堂)
「ユキと進くんの物を三浦の自宅に持って行ってもいいでしょうか?」(父)
「…何を遠慮してらっしゃいますか?サーシアもユキの事…ヤマトで…」(藤堂)
「はい…おばさまになられる予定だったと伺っております。とても優しくて強かった、と
聞いています。」(サーシア)
「そう…知っているのね。よかったわ…」(母)
「私たちはサーシアが地球で普通に暮らせる環境を整えてあげたいと思っています。
なので森さんもサーシアを自分の娘と思ってください。」(藤堂)
「えぇ…」(母)
「はい」(父)
藤堂はサーシアの顔を見て
「サーシア、これからはこのお二人がご両親だ。お父さん、お母さんって呼ぶんだよ。」
藤堂が優しい眼でサーシアを見る
「森さん、サーシアは私と私の妻の孫と同じなんです。遊びに行きたい、と言ったら
快く送り出してくれますか?」
藤堂が少し気まずそうに言うと
「奥さまもきっとお寂しいでしょう…いつでもおっしゃってください。サーシアちゃん
も遠慮しないで“おばあちゃんの家に行きたい”って言ってね。」
ユキの母はそう言って笑った。藤堂と島は気を利かせて少し三人で話す時間を取ることにして南部と相原が待つ部屋へ出て行った
「ごめんなさいね…最初見た時ユキが生き返ったかと思ったの。」
母はそう言ってサーシアの手を握った
「私達に会う事よく決心してくれたわ。ありがとう…私今度こそいいおかあさんに
なろうと思うの。ユキにとって余りいい母親ではなかったから…」
そう言って涙ぐんでしまったがぐっとこらえて
「一緒にお買い物したりご飯食べに行ったり…ね!」
サーシアはユキの母を見て“ユキさんに似てる”と思った
昨日の晩、サーシアはベッドに入ったものの明日の顔合わせが不安で眠れずにいたらユキの気配を感じた。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9 作家名:kei