続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9
〈不安そうね。〉
「ユキさん…よかった…お話したかったの。明日、私大丈夫かしら…もしユキさんの
ご両親が気に入ってくれなかったら…」
〈大丈夫よ、実はね私の両親がわがまま言って顔合わせ前に一度見てみたいって言って
長官の奥さまと一緒に買い物をしてるところをこっそり見てるの。〉
「え?全然気付かなかったわ。」
〈長官はあなたのカンのいいところを知ってるから少し離れた所から…だったから多分
気付かなかったのよ。〉
「そうだったの…それで…」
サーシアが不安そうな顔をするとユキは笑って
〈全く問題ないわ。むしろ喜んでいたわよ。余りにも私に似ていて驚いてたけど〉
「……」
〈でも似てるから引き受けんたんじゃないわ。本当よ。〉
「ユキさん…」
ユキはサーシアの気持ちが痛いほどわかる。サーシアの叔母と私が似てたから進は私の事を好きになったのかもしれない…もしその人が生きていたら…私はどうなっていただろうと何度も思った事がある。
〈あなたはあなたよ。他の誰でもないわ…そしてやりたい事をするの。イスカンダル
じゃできない事がここにはたくさんあるわ。でもいい事ばかりじゃないと思うけど…〉
「そうよね…。でも、きっと大丈夫よね?」
〈えぇ、大丈夫よ。…私が付いてるわ。私だけじゃない…みんなが付いてるわ。
でも不思議ね。〉
ユキはそう言って笑った。サーシアはなにが不思議なのかわからなかった
〈だって本当は叔母と姪の関係になるはずなのに姉妹になるんですもの。〉
ユキはコロコロ笑う。最初サーシアは意味がわからなかったがやっと気付いたようで
〈ね?不思議でしょう?私ね、嬉しいのよ。妹か弟がほしい、って思っていたから…〉
しかしふとサーシアが
「ユキさん、生きていてくれたらよかったのに…」
思わず本音が出てしまいサーシアがハッとして口をふさいだ
〈いいのよ、サーシアちゃん…私、後悔してないから。今まで古代くんと離れ離れ
だったけどもうずっと一緒…やっと夢が叶ったの。私は幸せだから…いつか母に
伝えて…サーシアちゃんが私と話せる事とヤマトに乗った事後悔してない、って事。
手紙見てわかってると思うけど私は前も今も幸せだから、って…それと…もし両親が
サーシアちゃんを通して私を見てしまってその悲しい気持ちや辛い気持がサーシア
ちゃんの心を潰しそうになったらすぐに私を呼んで…。その気持ちを私にぶつけて。
私とサーシアちゃんは似てるから母もわかってても…思う事があるはずだと思うの
サーシアちゃんはきっとがまんしちゃう。“古代家”の血を引いてるし優しいから
その気持ちに気付かないふりをしてしまうはず…だから私がそばにいる事を忘れないで〉
サーシアは黙ってうなずいた
〈さぁ明日そのかわいい顔がむくんじゃったら大変。もう寝た方がいいわ。〉
「ありがとう…」
サーシアはいつの間にか眠ってしまった
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 9 作家名:kei