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機動戦士ガンダムRS 第39話 ゆれる世界

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 激戦が終わったビクトリアでは、地球軍所属の歩兵たちがコロニー軍兵士の生き残りがいないか調べていた。
しかしほとんどのマン・マシーンは、コックピット部分などが破壊され残骸を見ればパイロットの生死がわかるほどだった。
その時歩兵の上空を歩兵用輸送機と何機かのヴァルファウが通過した。
「いやいや、お見事でした。
流石ですな、サザーランド大佐」
 歩兵用輸送機には、アズラエル大統領とサザーランド大佐が乗っていた。
サザーランド大佐は、オーブでで指揮を執った後ビクトリアで再び指揮を執り勝利を勝ち取った。
「いえ、デュエルダガーとストライクダガーは良い出来ですよ。
オーブでアズラエル大統領が苦戦されたのは、お伺いしたガンダムのせいでしょう」
 サザーランド大佐は、この戦いで活躍したデュエルダガー、ストライクダガー並びにソードカラミティの性能に大変満足していた。
「まだまだ課題も多くてね、こっちも。
しかしよもやカラミティ、フォビドゥン、レイダーであそこまで手こずるとは思わなかった。
本当にとんでもない機体だね、コロニー軍のガンダムは」
 カラミティガンダム、フォビドゥンガンダムとレイダーガンダムさらにフリーダムガンダムとジャスティスガンダムを投入したにもかかわらず負けた。
それくらいオーブ解放作戦は、アズラエル大統領にとって予想外だった。
「ナチュラルどもは、我々より技術力の劣った旧人とばかり考えていましたがここ最近もしかしたら奴らの技術力は我々を上回っているのではないかと考えるようになりました」
 サザーランド大佐は、自分の考えを言った。
「どちらにしろあれは、何とかしないとね」
 アズラエル大統領は、ガンダムの撃墜なしに勝利はないと考えていた。
「それでご自身で宇宙へと?」
 アズラエル大統領は、宇宙へ行くつもりだった。
「鹵獲できるなら鹵獲したいところだけどどうせ核ミサイルでコロニーを直接攻撃しちゃうから」
 既にユーラシア連邦では、核ミサイルの製造が再開しておりそれをビクトリアに運ぶ準備をしていた。
「特攻部隊ですか?」
 Nジャマーが散布されて以来誘導ミサイルによる精密射撃は、不可能になった。
そのため核ミサイルを撃つにも必中距離まで近づかなくては、ならない。
そうなれば自機も核ミサイルの影響を受けてしまう。
現にスウィート・ウォーターを攻撃したメビウスは、核爆発に巻き込まれ帰艦できなかった。
 サザーランド大佐は、それにかけて嫌味っぽく言った。
「おいおい、ちゃんとピースメーカー隊は帰艦が難しい任務だということもちゃんと説明したうえで志願してもらってメビウスに搭乗してもらっている。
強制は、してないさ」
 アズラエル大統領は、あくまでピースメーカー隊は勇士部隊だと説明した。
「大体我々は、強い生き物なんだからさ。
強い者と弱い者のどちらか主人なのかわからせなと。
そうじゃないと弱い奴が自分は、強いと錯覚してこんなことをしでかすからね。
悪いことをしたペットには、きつくお仕置きしないと」
 アズラエル大統領は、ナチュラルを下僕とみなしていた。
「宇宙で自由に住めるようにしたのにこれでは、ですな」
 サザーランド大佐もアズラエル大統領と同じ考えだった。
「頑張って退治してくるよ、僕も」
 2人が乗ったシャトルが先行して宇宙へと上がった。

         ※

 宇宙ではアークエンジェル、ドミニオンとクサナギが出向のため最終準備を行っていた。
 クサナギの船内をカガリが浮かない顔で渡っていた。
 クサナギのモビルスーツデッキではアサギ、マユラとジュリが率先してM1アストレイを宇宙用に調整していた。
キラ大尉も色々とアドバイスをしていた。
パイロット待機室では、アスラン中佐がたそがれウズミ前代表の言葉を思い出していた。
「アスラン」
 そこにキラが来た。
「こっちも落ち着いたみたいだからアークエンジェルへ戻ろう」
 キラがアスランにアークエンジェルへ戻ろうと提案した。
それにアスランが驚いた。
「どっちに居ても同じだけどこっちは、M1でいっぱいだし」
 キラは、まだ搭載能力に余裕のあるアークエンジェルへ行こうと提案した。
「アスラン?」
 アスランは、どこか上の空だった。
キラは、なぜアスランが上の空か大体見当がつきアスランに近づいた。
「カガリが心配?」
 キラの言葉にアスランは、驚き顔を上げた。
「駄目だよ、ほかの子まで手を出したら。
アスランには、ラクスという婚約者がいるんだから。
そうでなくてもアスランは、かっこいいんだから少し優しくしたら女の子が誤解しちゃうのは当然だよ」
 キラが見当違いのことを忠告しアスランは、うなだれ両手をキラの肩に載せた。
「キラ、お前は本当に天然だな。
俺が上の空だった理由は、ウズミ様の言葉を思い出してたからさ」
 アスランがそういうとキラは、申し訳なさそうな顔になった。
「そういう顔をするな。
俺は、お前のそういう天然なところを気に入ってるんだから」
 アスランは、先とは打って変わって笑顔でそういうとパイロット待機室を出ようとした。
「それは、どういう意味だよ?」
 キラは、怒りながらアスランの後について行った。

          ※

 サオトメは、個人的な備品を買いに買い物に出かけていた。
しかしそれも終わり基地に帰ろうとしていた途中でアイリス曹長と見知らぬ中高年の男性を見かけた。
いくらサオトメでも一瞬では、状況を把握できず遠目から2人を見ることにした。
するとアイリス曹長は、嫌がっているように見えた。
しかしそれを頭で認識したときサオトメは、すでに2人の許へ走り出していた。

          ※

「だから私は、そういうのに興味ないので」
 アイリス曹長は、必死に男性を撒こうとしていたが男性はしつこかった。
「ごめん、アイリス。
買い物が思いのほかかかってしまって」
 アイリス曹長は、聞きなれた声がしたのでその方向を見た。
それは、走ってこちらに来たサオトメ少佐だった。
アイリス曹長は、サオトメ少佐を見ると不安そうな表情から一変し安堵の表情を浮かべた。
「じゃあ気が向いたら連絡してね」
 男性は、アイリス曹長にそういうと連絡先が書かれた名刺を渡した。
「興味ありません」
 アイリス曹長は、きっぱりと断った。
「何なんだ?」
 サオトメには、アイリス曹長に男性がしつこく付きまとっていたとしか認識できなかった。
「それがグラビア雑誌のモデルにならないかと誘われていたんです」
 アイリス曹長は、何があったのかサオトメに説明した。
「一応断っていたんだよな?」
 サオトメもアイリス曹長が安易にそのような誘いを受けるような安い女だと思っていなかった。
「はい。
でも何度断ってもしつこく勧誘されて。
『20年に一度あらわれるか否かの素晴らしいスタイルだよ。
これならどんな服装でも似合う。
世の男たちも虜にできるよ』と長々と説明されてしまいました」
 アイリス曹長は、よほど参っていたのか半分八つ当たりのような口調でサオトメに説明した。
「なるほど」
 サオトメは、黙ってアイリス曹長の話を聞いていた。