続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10
翌日守がスターシアと一緒にミオを抱いてラウンジに降りてきた
「おはよう…昨日は疲れてるだろうから紹介しなかったが…実はサーシア
に妹が…(スターシアからミオを抱き上げてみんなに見せた)自分で
言うのもなんだが…ミオは進に似てるんだ…」
そう言って守はみんなにミオをお披露目した
「守、おめでとう…よかったな。またにぎやかになる…スターシアさんも
おめでとう。産後は大丈夫だったのですか?」
藤堂がスターシアをねぎらった
「えぇ、ありがとうございます。サーシアの時に比べて随分楽でした。
スクスク育ってくれて…よく寝てくれますし…」
「そうですか、親孝行なミオちゃんだ。」
藤堂はそう言って柔らかいホッペをそっと触った。やわらかい触感がなんとも言えない…
「守さん、触っていいですか?」
藤堂が触ったのをかわきりに乗組員が守の周りに集まった。ミオは人見知りする事もなくニコニコ笑っている。サーシアはその姿を少し離れたところでやはりニコニコして眺めていた
「サーシアはいいの?」
サーシアは突然声を掛けられて驚いてしまった。声の主は島だった。サーシアの頭に昨日ユキと話して事が頭をよぎる…
「…あ、うん…昨日たくさん抱っこしたの。だから大丈夫…島さんもミオ
見てあげて!すっごいかわいいんだから!」
「そうだね、でも今は囲まれちゃってるし…後でじっくり見させてもらうよ。」
そう言って遠くから人だかりを眺めていた
「ほんとだ…こりゃ古代だな。」
守の周りに人がいなくなってから島がミオを見に近付いた
「ははは、だろう?」
守が嬉しそうに笑う
「あいつ、ちょっと女の子っぽい顔してましたからね…」
島が初めて会った時の事を思い出していた。
「13…だったんだよな。あの時…中学一年生だ…君たちもまだ幼な
かったよな…」
守も遠くを見る目になった
「…サーシアはお任せください。何があっても私が守ります。」
島は守の眼を真っすぐ見た
「私が…古代のために出来る事…それぐらいしかありません。」
守も島の眼を見つめた
「…俺は島に頼みごとばかりしてきた…いつも“進を頼む”とね。
それで苦しめてしまったのではないか?」
島は守の問いに一瞬言葉を詰まらせたが
「そんな風に思った事は一度もありません…俺と古代は“仲間”だった
から…一緒にいて当然でした…だから…」
守はふと笑った
「ありがとう、島…サーシアの事、頼むな。昨日話したが地球が楽しくて
しょうがないみたいだ…よくクルーの話も出てきてみんながサーシアを
守ってくれてるのがよくわかる。しかし当の本人は分かっていないみた
いだが…」
守がため息をつくと
「いいんです、地球でサーシアが自然体でいてくれるのが一番嬉しいん
です。でも俺らより森さん夫婦が合ってるみたいで…本当の親子みた
いですよ。とてもホストファミリーには見えません。」
島がそう言うと守は安心したように
「島がそう言ってくれるって事は本当にそうなんだな…安心したよ。森さん
ご夫妻にもよろしく伝えてほしい」
守の言葉に島は力強くうなずいた
「お父様、ミオを抱いていいかしら?」
いつまでもミオを離さない守に焦れたサーシアは取り上げる勢いでミオを抱き上げた
「ハイハイ、お姉さん…しっかり子守お願いしますよ。」
守はそう言うとにっこり笑った
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10 作家名:kei