続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10
「サーシアはきちんとしてるかしら…」
スターシアははるか遠く離れた地で暮らす娘に思いを馳せていた
「大丈夫だよ…そんなに心配なら相原を呼び出すかい?」
守が通信機の前に座ると
「いいえ、あの子が頑張ってるなら…それでいいの。新しいご両親と仲良く頑張っ
てるところで私を見て…あの子がなんて思うか…」
スターシアは大きなお腹を抱えていた。守は通信機からスターシアが座っているソファーに移ると
「少し神経質になってしまっているんだよ。深呼吸して…お腹の子に障るよ…
サーシアは大丈夫さ。なんてったってキミと俺の子、だよ。それより新しい命を
大切にしてくれよ。」
守がそっとお腹に触れる
「でも…この子もいつか地球へ…」(スターシア)
「スターシア、今は考えるのやめよう。自分の体の事、考えてくれ…」
守がそっとスターシアを抱き寄せた
〈こちら、地球防衛軍通信士、相原。イスカンダルのスターシアさん聞こえますか?〉
突然イスカンダルの通信機から相原の声が聞こえてきた。そこに守しかいなかったので守が出た
「相原、久しぶりだな…あれから一年…か?元気そうだな。」
〈お静かに暮らしてるところすみません、お久しぶりです、お二人ともお変わりなく?〉
「あぁ、なにも変わらず静かに暮らしているよ…クルーや長官もお元気かな?」
〈はい、サーシアも元気です。楽しそうに中学校に通っています。森夫妻とも仲良く
くらしていますのでご安心ください。〉
「そうか…時々連絡取ってみようかな、って思うんだが…」
〈遠慮しないで連絡ください。…で、業務連絡なんですが一年ぶりにイスカンダルへ
行こうと今計画しています。前回突発で行きましたがお二人のご都合もお聞きしよ
うと思いまして…〉
「気を使ってくれてありがとうな、こちらはいつでも歓迎するよ。」
〈ありがとうございます。ではまた時期が決まりましたら連絡しますので…〉
相原は敬礼して画面から消えた。
「守?」
席を外していて通信室にいなかったスターシアが守が誰かと話してる声を聞いて入ってきた。
「スターシア、体調は?」(守)
「えぇ、大丈夫…サーシアの時に比べたら随分楽だったわ。今ぐっすり寝てるの。」(スターシア)
二人の間に二人目の女の子が生まれていた。
「スターシア、今相原からで…サーシアが訓練学校に入るって連絡があった。そして
YUKIがまたイスカンダルへやってくるそうだ。訓練生だからサーシアが来れる
かどうかはわからんがな。」(守)
「そう、サーシアが戻ってくるかはわからないの…」
スターシアは残念そうにうつむいた
「訓練学校は学校だからな…それより今学校と言うところに通っているんだと。
学校と言うところは同じくらいの子供たちが集まって勉強したり運動したり…いろいろ
学ぶところなんだよ。とても楽しそうに通ってる、との事だ。地球の環境と合ってた
みたいだな。よかった…」
守はそう言って何も映っていない通信機をいつまでも見つめていた
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10 作家名:kei