続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10
<里帰り>
「真田さんの開発したこのスーパーチャージャーすごい、いい。ワープの早さが半端
じゃない。慣れるまでちょっとキツいが…三度目と言う事もあるがイスカンダルまで
一か月かからないで航海できるようになるなんて…サーシアもイスカンダルが近くなっ
て嬉しいだろう?」
島が間もなくマゼランに入る所で休憩中にサーシアと話をしていた
「えぇ、時々相原さんが通信室に私を入れてくれて話させてくれたりするんだけど…実際
早く会えると思うととても嬉しいわ。」
サーシアがおかずをつつきながら言った。その姿はどこにでもいる普通の学生だった。
「そうか…よかったよ。でも…」
島が一瞬言葉に詰まった
「でも?」
サーシアが聞き返したが
「…いや、なんでもない…それより学校の宿題は終わったのか?」
島が首を振って話題を変えた。サーシアは島が何を言いたいのか察しはついたが気付かないふりをした
「えぇ、ばっちりよ。なんてったってお父様も頭の上がらない最強の家庭教師が私には
付いているんですから!」
サーシアは幕の内のいる方を見てそう言った
「そうだね、幕さんがいるもんな。バッチリなはずだ…さて(トレイを持って)そろそろ
艦橋に戻るな。サーシアはまだ休憩中だろ?明後日にはイスカンダルだ。しっかり
休んで疲れた顔を両親に見せないようにしないとな!」
島はそう言って食堂を出て行った。サーシアは“はぁい”と元気に返事をしたものの島の後ろ姿を目で追ってため息をついた
(島さんは大人だからなぁ…)
幕の内はその二人の姿を離れた所からじっと見ていた
「ふぅ」
島はサーシアの見えないところで息を吐いた。余りにユキに似てきてユニフォームもお古となるとユキと重なってしょうがない…そう思わないようにするのに精いっぱいだった。カンのいいサーシアは少しでも島がそう思ったらすぐに察してしまう…
以前はもっとかわいらしくて小さな女の子、というイメージだった。ちょくちょくあっていたのにいつの間にか女の子から少女になり気付くと島の内でユキと同じような部分にいるのが自分ではっきりわかったのだった。
「しっかりしろ、大介。相手はこんど高校生だ。」
自分に言い聞かせるようにつぶやくが…
(察しのいいサーシアに自分の気持ちがわからなければいいが…)
島はそれが気が気でなかった…
(島さん、そっけないなぁ…私の事どう思っているんだろう…)
サーシアは島がそっけない態度をとる事が多いのでその事がすごく気になっていた。ユキに聞こうとしてもうまく聞く事が出来ず自分の中ですっきりしない感じがしていた。
(時々私を見る目が違うのはきっとこの制服のせいね…島さんは私をユキさんと間違え
てしまいそうな時がある…私自身を見てはくれないのかしら…やっぱり私はユキさん
の代わりなのかしら…)
サーシアの食事は一向に捗らなかった
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10 作家名:kei