続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10
マゼランは目前だった。島はサーシアがイスカンダルに戻る、と言わないかそれが不安だった。サーシアも島が…誰もがそう思っているのを察していた。
〈久しぶりだな待っていたよ。以前と同じようにマザータウンの海に着水してくれ
こちらからボートを用意するから…くれぐれも気を付けて…〉
YUKIはガミラスを通過した。島はガミラスに向けて黙とうをささげた。誰もが言われたわけではないが乗組員それぞれが同じ思いで黙とうをささげていた。
島は黙とうを終えるとマイクを取った
「ガミラス星を通過した。間もなくイスカンダルのマザータウンの海へ着水する。
全員ベルト着用。」
全員が黙とうを終えると自席に着席した。
マザータウンの前に守が一人立ってYUKIの乗組員を出迎えた。サーシアは真っ先に守の胸に飛び込んだ
「ただいま…お父様…」
サーシアの大きな瞳から涙があふれている
「お帰り…サーシア、大きくなったね。疲れただろう?」
守が広い胸でサーシアを包むとサーシアは首を振った
「ううん、YUKIの中はとても楽しいから全然大丈夫。」
サーシアの笑顔を見て安心すると守はサーシアを脇に立たせると乗組員を見た。
「長官、長い航海お疲れさまでした。ラウンジで休憩できるようしてあるので…」
守はそう言うと乗組員をマザータウンのラウンジへ案内した。
「お母様は?」
サーシアは乗組員と別れて守と二人エレベーターに乗って更に上の階を目指していた
「あぁ…」
守はサーシアと視線を合わせず言葉を濁した。サーシアも何か感じたようでそれ以上何も聞かなかった。しばらくするとエレベーターの扉が開いた。
「お帰りなさい…サーシア。」
「!お母様…もしかして?」
サーシアがスターシアに近付きその腕の中のカプセルを覗き見た
「…かわいい…女の子?」
スターシアに抱かれて気持ちよさそうに眠っているのは女の赤ちゃんだった
「サーシアはお姉さんになったんだよ…ほら。」
守はスターシアが抱いているカプセルを開くとそっと赤ちゃんを抱き上げた
「…ミオ、お姉さんだぞ?久しぶりに帰って来たんだ…初めまして、しないとな。」
「ミオちゃん?」
名前を聞いて首をかしげると守とスターシアはそっと頷いた。そして守がサーシアにミオを抱かせた。
「大丈夫かな…」
まだ柔らかい赤ちゃんをぎこちないしぐさで受け止める
「ふふふ、あなたも小さかったのよ。」
守はスターシアが抱いていたカプセルを受け取り部屋の隅に持っていった
「お帰り…私の可愛い娘…サーシア。」
スターシアは立ち上がるとミオを抱いたままのサーシアをそっと抱きしめた
「サーシアはお母さんに甘えてるかな?」
相原がラウンジで用意されていた食事を食べながらつぶやくと
「久しぶりだもんなぁ…家族三人水入らず…だな。いい事だ。」
太田が満足そうに言うと
「さて…疲れてる乗組員は前回と同じようにこの先に個室が用意されているから
各々で休みたまえ。私も休ませてもらうとするよ。」
藤堂がラウンジのソファーから立ち上がると全員が敬礼した
「君たちもゆっくりするがいい。じゃぁ…」
藤堂がラウンジを出て行くと島たちはもう一度ソファーに座った。
「…ちょっと出かけてくる…」
島はそう言うとラウンジを出てエレベーターを下って行った。
作品名:続 さらば宇宙戦艦ヤマト 10 作家名:kei