激ニブ星の恋人?
第八話 激ニブで紅桜篇小話
その一、
「ヅラがテメーみてーなただの人殺しに負けるわけねーだろ」
銀時は似蔵をにらみつけて、言った。
桂を斬った、などと似蔵はほざいたのだ。
静かな怒りが、声だけではなく、銀時の全身からにじむ。
しかし、似蔵は動じない。
「怒るなよ。悪かったと言っている」
そう詫び、なにかを取り出した。
髪の束だ。
艶やかな黒髪の束だ。
似蔵は、奴の形見だと、見せびらかす。
新八もエリザベスも眼を見張った。
ぼうぜんとしている。
その眼のまえで、似蔵は黒髪の束をもてあそぶ。
「しかし、桂ってのは本当に男かィ? このなめらかな髪……まるで女のような……」
直後。
銀時が似蔵に斬りかかる……!
が、似蔵は銀時の木刀を紅桜で受け止める。
ギリギリと強く銀時は力で押しながら、言う。
「何度も同じこと言わせんじゃねーよ、俺の桂はてめーみてーなザコにやられる奴じゃねーんだよ」
「いえ、銀さん、桂さんが銀さんのものだったことは一度もないはずですよ」
新八が冷静にツッコミを入れる。
「気づいてさえもらってないんですから」
「新八、余計なこと言うんじゃねー!」
「銀さん、事情を知らない人をだますようなことは、たとえ敵であっても言ってはダメですよ、人として」
「……おかしいね、オイ、今、ものすごくシリアス展開だったはずじゃなかったかい?」
「なんでもいい、とにかく、その髪は俺のもんだ! よこせー!!」