激ニブ星の恋人?
第十二話 一生モノだから
空は青く晴れ渡り、太陽から降りそそぐ光を受けて木々の葉が緑色に輝いている。
銀時は公園のベンチに腰かけていた。
隣には新八が座っている。
神楽は少し離れたところで、定春と遊んでいる。
散歩の途中で、この公園に立ち寄ったのだった。
ハァ〜、と銀時は深くため息をつく。
すると。
「桂さんのことを考えているんですか?」
新八が聞いてきた。
「ちげーよ」
すぐに否定したが、実は、図星である。
ハイキングに行った際、ようやく桂にこちらの気持ちについて正しく認識させることができた。
しかし、あれ以来、会っていない。
桂はどう思っているのだろうか。
ものすごく気になる。
混乱していたからだろうが、断られなかった。
だが、もちろん、受け入れられたわけでもない。
じっくり考えてくれと頼んだものの……。
「それにしても、銀さんはすごいですね」
「ああ? なにがだ」
「同じ相手を、二十年以上、想い続けるなんて、すごいですよ」
新八は感動しているような表情をしている。
その隣で、銀時は首をかしげた。
「そーか?」
「そうですよ、めったにないことですよ」
「んなこたァ、ねーよ」
あっさりと否定した。
それから、話を続ける。
「たとえば、そうだな、三十で結婚したとする。それで、夫婦仲良く八十まで生きたら、五十年間、同じ相手だってことになる。それ考えたら、二十年なんか半分も行かねェ。たいしたことねーよ」
「……そうでしょうか。なんか違うような……。あ、そうだ、銀さんの場合、出発点が違うじゃないですか。銀さんが八十まで生きたら、五十年どころじゃなくなりますよ」
「だーかーらー、出発点が違うだけで、年数なんざ、どーでもいいんだよ。俺の場合は、一生ものの相手に出逢ったのが、やたらと早かったってだけだ」
「一生ものの相手……」
「感動したアル!!」
ふいに、神楽が力のこもった声で言った。
いつのまにか近くで聞き耳をたてていたらしい。
「私、これからも銀ちゃんを応援するアル!」
「僕もです!!」
新八はベンチから立ちあがり、神楽と並んで拳をぐっと握りしめた。
「……あ〜、あんまり、がんばりすぎんなよー…」
あいかわらず銀時はベンチに座ったまま、やる気のなさそうに告げた。
その真後ろにある低木の陰。
桂がいた。
真選組の者たちに見つかり、この公園まで逃げてきて、葉をこんもりと茂らせた低木の陰に隠れたのだった。
そのあと、真選組の者たちが近くを通りすぎていき、やれやれと思っていたら、ベンチに銀時と新八が座った。
桂は動けなくなった。
そして、銀時と新八は話し始めた。
一生ものの相手。
どうやら自分のことであるらしい。
すごいことを聞いてしまった……。