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激ニブ星の恋人?

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第十三話 高杉が説教するレベル



今にも雨が落ちてきそうな曇り空で、まだ日暮れ時ではないのにあたりは薄暗い。
高杉は江戸の町を歩いていた。
紅桜をめぐる騒動で真選組の眼をひいてしまったので、しばらく京に潜伏していたが、なんだか飽きてきちゃった……じゃなくて、ほとぼりも冷めただろうと判断して、江戸にやってきたのだった。
ふと。
視線の先が、前方から歩いてくる者の顔の上で、止まる。
桂だ。
向こうも、気づいた。
長い睫毛に縁取られた切れ長の涼しげな眼が細められる。
だが、双方ともに歩く足は止めない。
近づいていく。
そして、すれ違う直前で、立ち止まった。
「……高杉」
低い声で桂は言う。
「話がある。ついてこい」
堅く重い表情をしている。
紅桜の事件を、まだ怒っているのだろうか。
高杉はニヤと笑う。
「ああ、いいぜ」
承諾し、踵を返して、桂の歩きだしたほうに進んだ。

居酒屋である。
夕食には時間が早いので、客はあまりいない。
高杉と桂は店内の隅の席にいた。
机をはさんで向かいに座っている桂は、その店の隅で、この世の終わりのような真っ暗な表情をしている。
「……一体ェ、なんだ、この状況は?」
想像していたのとは違う展開に、つい、高杉はひとりごとを言う。
直後。
「お待たせいたしました〜」
二十代前半ぐらいの男の店員が陽気な声とともに、注文した品々を持ってきた。
机の上に、日本酒や揚げ出し豆腐や焼き鳥やフライドポテトが並べられる。
「ご注文のお品は以上でよろしいでしょうか〜」
「ああ」
桂が返事する。
「追加注文される際は、また、お呼びくださいね〜」
「ああ」
そして、店員は去っていった。
桂は高杉をちらりと見て、言う。
「食え、俺のおごりだ」
「……ちょっと待て、まさかと思うが、おまえは俺にメシをおごりたかっただけなのか」
「いや、違う。おごる代わりに、相談に乗ってほしいんだ」
「はァ?」
相談。
現在、自分たちは同じ攘夷志士であるとはいえ敵対関係にあるはずである。
それなのに相談とは、妙だ。
それに、だいたい。
「次会ったときは全力でぶった斬るとか言ってなかったか、おまえ」
紅桜の事件の際に、桂と銀時から言われたことを、指摘する。
「ああ、あれか。あれは、どうでもいい」
投げやりな様子で、桂は返事した。
「……どうでもいいのかよ」
「そんなことより、相談だ」
桂は話を元にもどした。その声には力が入っている。
あの発言については本当にどうでもいいらしい。
こちらは決闘を申しこまれることを予想して、ついてきたのに。
なんだか、ガッカリだ。
「実は……」
そう切りだして、しかし、桂は言いよどみ、顔を伏せた。
よほど言いにくい話なのだろう。
気になるので、高杉は待った。
すると。
「……その、とても信じられぬことだろうとは思うが、実は、銀時から、その、好きだと言われたんだ」
「……は?」
「その、好き、というのは、友人としてではないらしいんだ……!」
桂は顔をあげ、高杉をすがるように見た。
「とても本当のことだとは思えんだろうが、俺はふざけているわけではない。しかも、二十年以上も、その、銀時は俺に、友情ではない想いを抱いていたらしいんだ」
「……」
「なァ、高杉。俺は一体どうしたらいいんだ!?」
深刻な表情で、桂は問いかけた。
本気で苦悩しているらしい。
「……」
どうしたらいいのか聞きたいのは、こっちのほうだ。
というか、あきれた。
作品名:激ニブ星の恋人? 作家名:hujio