激ニブ星の恋人?
「出場するのにちょうどいいと思ったのだが、あきらめよう」
桂は白無垢をしまおうとする。
「ちょっと待て」
その桂の肩を、銀時はガシッとつかんだ。
「そこまで言うんなら、一緒に出場してやる」
「銀さん、桂さんはそこまで言ってませんよ」
「銀ちゃん、下心バレバレアル」
新八と神楽が速攻でツッコミを入れた。
しかし。
「本当か」
桂はふたりのツッコミが気にならなかったようだ。
「それは良かった」
うん、とうなずく。
「では、この白無垢はおまえが着るとして、俺は紋付き羽織袴だな」
「……なんでそーなるんですか、桂さん」
「もちろん、見た目だ!」
脱力しつつもツッコミを入れた新八に対し、桂は力いっぱい言った。
「見た目、アルか……」
「桂さん、銀さんにその白無垢が似合うと思いますか」
神楽と新八は否定的な雰囲気を漂わせている。
だが、桂は一切気にしない。
「ああ」
自信たっぷりに肯定する。
さらに。
「銀時は可愛いからな!」
声高らかに言った。
「「可愛いぃぃぃぃ!?」」
新八と神楽の声がぴったり重なった。
「桂さん、ほんとーにコレが可愛いんですか!? コレが可愛く見えてるんですか!?」
新八はコレ呼ばわりをして銀時を指さす。
すると。
「ああ」
桂はまた肯定した。
「銀さん、もしかして桂さんって……?」
「……それ以上は言うんじゃねー」
「銀ちゃん、こんなのに二十年以上片想いしてたアルか」
「……ホラ、言うだろ、バカな子ほど可愛いって」
「「なるほど」」
「まァ、それはともかくとしてだ」
銀時が場を仕切り直す。
「俺じゃなくてテメーがソレを着るんじゃなけりゃ、俺ァ、出場しねーからな」
「なぜだ!?」
桂は眉根を寄せた。
「俺がこれを着たところで、似合わんだろうが!!」
本気でそう思っている様子で、言った。
「……ヅラは鏡を見たことないアルか」
「鏡の中に別の人間を見てるんだよ、きっと」
「とーにーかーくー、ソレをおまえが着るのが、俺が出場する条件だ」
「桂さん、そのほうがいいですよ。桂さんなら自分の髪で文金高島田を結えますし」
「そーそー、ヅラだけに、ヅラ借りる必要ねーしな」
「ヅラで良かったアルな、ヅラ!」
滅茶苦茶である。
だが。
「そうか、たしかに、そうかもしれんな」
桂は納得した。