激ニブ星の恋人?
お通ちゃんの歌のあと、書類選考に通った本戦出場者たちのパフォーマンスが始まった。
ステージに登場した出場者たちは、歌ったり、劇を演じたりした。
次は九兵衛と東条の出番だ。
ステージ脇からだれかが出てくる。
あのふたりか。
いや、そうではなかった。
審査員席にいたはずの、お通ちゃんだ。
おびえた表情でステージ中央に向かって走る。
そのあとを、浪人風の男たちが追いかける。
お通ちゃんは逃げる。
だが、ステージ中央に達するまえに、男たちにつかまった……!
「えっ、なに、この展開……!?」
反対側のステージ脇から見ていた新八が戸惑いの声をあげる。
その近くで、神楽がなにか気づいた表情になった。
「あ、お通ちゃんをつかまえてるヤツに見覚えあるアル! 柳生流に乗りこんだときに、見たアル!」
どうやら男たちは柳生流の者たちであるらしい。
「銀ちゃんも、見たことあるアルな?」
「いや、俺ァ、ヤローのツラなんざ興味ねーし、覚えてねーからな」
「でも、桂さんの顔は絶対に忘れないんでしょう?」
「俺ァ、面食いじゃねーよ! そりゃ、俺ァ、アイツのツラも好きだが、それだけじゃなくて、全部が……!」
そう銀時は熱く語り始めたが、スタッフに止められる。
「今、パフォーマンス中なんで、お静かに、お願いします」
「……ハイ」
ステージで浪人風の男たちがいやらしく笑う。
「フッフッフッ、いい娘だな」
「俺たちが可愛がってやろう」
ステージ脇で、新八が「汚い手で、お通ちゃんにさわるなー!」と叫んでいる。
その横を、だれかが通りすぎた。
メイド服の九兵衛と、執事姿の東条である。