激ニブ星の恋人?
「カップル限定!コスプレ大会、結果発表ォォォ!!」
ステージ上で司会者が声を張りあげた。
本戦出場者のパフォーマンスがすべて終わり、審査員たちがステージから離れたところで協議していたのだが、審査員たちがステージにもどってきて、いよいよ結果が発表されるようだ。
ステージ上には、司会者、審査員たちの他、本戦出場者全員がいる。
「皆さん、素晴らしいパフォーマンスで会場を盛りあげていただきました。審査員の方々による審査は難航し、すべての組を優勝としたいとの声もあがったそうです」
じゃあ、いっそ、そーしてくれ。
ステージ上で銀時は内心ツッコミを入れる。
こうしたコンテストで、審査は難航した、は決まり文句だ。
信用できない。
まあ、それはともかくとして。
「それでも、悩みに悩み、議論を重ねて、ついに結果が出ました!」
さて、どうなるのか。
「その結果を、これから発表します!」
司会者は二つ折りの紙を開いた。
そこに優勝した組の名前が書いてあるらしい。
「優勝カップルは……!」
台詞が途切れた。
もちろん、わざとだろう。
気を引くような効果音が聞こえてきている。
銀時はイライラする。
早く言えよ、と文句をつけたくなった。
司会者がようやく、ふたたび口を開く。
「優勝カップルは、万事屋銀ちゃんと狂乱の腐男子カツラさんです!」
「オイ、ちょっと待て、俺はいいが、狂乱の腐男子ってなんだよ!?」
「狂乱の貴公子のままではマズいだろうと思ってな」
「だからって、なんで腐男子なんだよ! オメー、実は、俺に隠れて、俺とメガネの同人誌とか作ってんのか!?」
「おまえとマヨネーズのほうが人気がありそうだが」
「あ、あの、優勝カップルのおふたり、マニアックな話は……、じゃなくて、ふたりの世界を作らないで、どうぞ、こちらに来てください」
司会者が打って変わって、オドオドした様子で話しかけてきた。
「ああ、そーいや、そうだった」
「すまない、すぐ行く」
銀時と桂は平然とした態度で司会者のいるステージ中央へと歩いていく。
「……キャー、とか、嘘ォ、とか、もうちょっと驚いたり喜んだりしてほしかったな」
司会者が小声でぶつぶつ言った。
そして、準優勝はメイド侍&執事侍だった。