激ニブ星の恋人?
「優勝したぞ」
桂が胸を張った。
格好は白無垢姿のままである。
コスプレ大会が終わり、ステージから少し離れたところで新八や神楽と合流した。
「えらそうアル」
神楽が言う。
「ヅラひとりでは優勝できなかったアル。だから、賞金、半分、寄こすアル」
「だが、これは攘夷活動の軍資金にすると初めに決めたではないか」
「決めてないアル。ヅラが勝手に言ってただけアル」
「む。そういえば……」
「みんなの協力があって優勝できたアル」
「……たしかにそれはそうだな」
桂は納得し、賞金の半分をのし袋から出す。
「わあ、桂さん、ありがとうございます! 助かります!」
それを新八が受け取り、大喜びした。
「そういえば、副賞もあったな」
思い出したように言い、桂は副賞を取りだした。
「中身はなんだ。ああ、一泊二日温泉旅行か」
温泉旅館の宿泊券だ。
「二名様か」
桂はその宿泊券を見て、ふいに、なにかひらめいた表情になった。
「そうだ、エリザベスと行こう!」
「ちょっと待て」
銀時は止める。
「カップル限定の大会で優勝した副賞だろ。そいつは、俺とおまえが行くためのもんだろうが」
「そんなことは決まっていない。俺はおまえとではなく、エリザベスと行きたいんだ」
きっぱりと桂は言った。
「俺よりも、あのペンギンのお化けのほうがいいのか……!?」
銀時は衝撃を受けている。
「ペンギンのお化けじゃない、エリザベスだ」
即座に桂は訂正した。
しかし、銀時は聞こえていない様子で、がっくりと地面に腰をおろした。
膝小僧をかかえて座りこむ。
「俺って一体ェなんだ……?」
暗い声でつぶやいている。
「ヅラぁ、銀ちゃんをいじめちゃ駄目アル!」
「俺は銀時をいじめてはいない」
「旅行には銀ちゃんと行くアル」
「俺はエリザベスと行きたいんだ。エリザベスは俺の可愛いペットだからな」
「可愛いペットじゃないアル! オバQの皮をかぶったおっさんアル!!」
「エリザベスはおっさんじゃない! 中身も全部エリザベスだ!」
「臭い鑑定人に鑑定してもらうといいアル! きっと、中から加齢臭がするアル!」
「そんなことはない!!」
桂は両手を拳に強く握って、否定した。