激ニブ星の恋人?
ふと。
背後から、桂は肩をぐいっとつかまれた。
突然のことだったので、あらがう間もなく、そのまま強い力でうしろへと引っ張られる。
さらに、取り囲まれた。
「な、なんだ一体……!?」
「ペットだかオバQの皮をかぶったおっさんだか知らないけど、そんなのと旅行に行くなんて、冗談じゃないっス」
「そんなのと旅行されたら、こちらとしてはおもしろくないでござる」
「せっかく我々がお膳立てしたのに、そんなのとの旅行に使われて水の泡にされるのは、正直、むかつきます」
鬼兵隊の主要メンバーである。
かれらの迫力におされそうになりながらも、桂はキッと眉をつりあげて、言い返す。
「そんなのとは、なんだ! エリザベスは俺の大切なペットなんだぞ!!」
しかし。
「それがどーした」
不機嫌そのものの表情で言い返された。
「た、高杉、おまえまで……!」
「俺は本当ならこんなことに手ェ貸したくねェんだが、テメーら見てるとイライラするんだよ」
片眼だけだが眼光鋭くにらみつけてくる。
「さっさと銀時と新婚旅行に行ってきやがれ」
かなり凄みのきいた声で命令した。
まわりを取り囲んでいる他の者たちも、反論はゆるさない、というようなオーラを全身から漂わせている。
桂はうっと言葉を喉につまらせた。
そして。
「……わかった」
しぶしぶ承諾した。
そんないきさつを経て、銀時と桂は旅立った。
一応いろいろな観光スポットを見てから、旅館に行く。
なかなか立派な、風情のある旅館だ。
部屋の畳に腰をおちつけると、ほっとした。
さて。
ここは温泉旅館である。
絶対そうしなければならないということはないが、温泉に入りに行くべきだろう。
「ここの湯は良いと評判らしいぞ」
うきうきと桂は言う。
「そう、か」
なんとなく銀時は眼をそらした。
温泉は男湯と女湯にわかれているらしいが、その分け方では自分たちには関係ない。
同じところに入ることになる。
桂の裸なんか小さい頃とか戦んときに見たことあるじゃねェか……!
そう自分に言い聞かせる。
でも、あのときとは状況が違うぞ〜。
心の奥底からそんな声が響いてきたが、聞こえなかったことにした。