激ニブ星の恋人?
そして、温泉へ向かう。
男湯と書かれた紺色の暖簾をくぐる。
桂の足取りは軽い。
ぎこちない銀時とは対照的である。
脱衣所で、桂はいさぎよく着ているものを脱ぐ。
それをなるべく見ないようにして銀時も脱いでいく。
「おい、先に行くぞ」
脱ぎ終わったらしい桂が言った。
「ああ」
やはり銀時は桂を見ずに返事した。
しばらくして、銀時は温泉のほうに行った。
まず身体を洗い、それから、湯につかる。
すると。
「やはり、良い湯だな」
上機嫌な桂が湯につかったまま近づいてきた。
もちろん裸である。
それを見てしまった。
こいつの裸を見るのはこれが初めてじゃねェ、ちっせェ頃や戦んときにも見たはずだ!!
自分に言い聞かせる。
が、想像なら打ち消せても、眼のまえに実物があっては意味がない。
桂は長い髪が湯につかるのを避けるためか、軽く結いあげている。
そのため、いつも長い髪で隠されている首筋があらわになっている。
首筋ももちろん湯に濡れている。
肌は白く、さらに、上気している。
なぜか、コスプレ大会で見た桂の白無垢姿が頭に浮かんできた。
三三九度のパフォーマンスの際の光景である。
そうだ、俺はコイツと結婚したんだった……!
心の中で叫んだことなので、いや違うだろうというツッコミはどこからも入らない。
コイツが俺の嫁……!
感極まる。
「銀時!?」
桂がぎょっとしている。
「まだたいして湯につかっていないのに、もうのぼせたのか!?」
その声を聞きながら、銀時の意識は天へとのぼっていった。